中ボス戦闘編・一
何もいない?
いや流石にそれはおかしいやんな。ん?なんもいやん?...っ!もしかして上かッ!
「上におるぞッ!聞いつけぇ!降りて来んぞ!」
「「わかった」わ!」
そして全員が後ろに飛んだ瞬間上から降ってきた『ナニカ』が僕たちのいた場所に向かって落ちきた。
そいつが落ちてきた場所は大きく粉塵が舞っており、まだ何が降りてきたのかは分からないがそれなりに大きい奴が降ってきたことは分かる。
「サリア、魔法の準備は?」
「もう『陽光』で始めているわ」
「おし、エリス、回復は?」
「うん、いつでも打てるようになってる」
全員の準備が完了していることを確認して僕も纏血で作ったランスを構えて敵の攻撃に備える。
『グボアァァァァ...!』
その鳴き声と共に突っ込んできた敵が何だったかを見るとどうやら大きな蜘蛛の体に鬼のようなイカつい顔が乗っている体長約8メートル程の巨大な魔物だった。
試しにネックレスを介して鑑定を使うと『鬼面蜘蛛』と出たが、それ以外は特にスキル等の追加情報は出てこなかった。
「レベルも何もわからんから気ぃつけぇや!名前は鬼面蜘蛛やってさ!」
「一発目、魔法入れるわね!『フレイムランス』ッ!」
『ギシャァァッ!』
勢いよく飛んで行ったサリアの陽光魔法『フレイムランス』は避けることも無く正面から突っ込んで行った蜘蛛へと正面から当たり、爆煙が広がる。
蜘蛛は胴体を大きく反らし、苦しみの声を上げながらも体勢を直しその火傷部分を気にしないままこちらへと突進してきた。
どうやらサリアを排除したがっているようだが、僕がいるので先に噛み付いてくるつもりらしい。
大きく開いた口から大きな牙をのぞかせ、紫色の呼ばれを垂らしているので、毒を持っていると仮定し、絶対に喰らわないような立ち回りを披露しないといけない。
「オラ、まずは一発ゥッ!」
『ギョオォォォ...!』
大きく口を開き、噛み付いてきた鬼面蜘蛛へと僕はランスを大きく横凪に振るい、顔を強制的に横へと向けるとそのままランスを体ごと回転させ、遠心力の力も加えた一撃を頭の頂点へと叩きつけてやった。
もう一撃、と頭に『出血』スキルを使い大量の血を送り込んでやろうとしたが、流石に中ボス、やられっぱなしでは無く、六本あるうちの一本の脚を使い僕をはらいのけるような動きをする。
「なッ!グホアッ!」
勿論来ることはわかっていたのだが、思ったよりも蜘蛛脚のリーチが長く先端で脇腹を殴られた。
そのまま僕は弾かれたように飛んでいき、何回かバウンドした後、手も使って体勢をたて直したが殴られた脇腹がかなり痛む。
「『ミドルヒール』、どう?まだ痛む?」
「いや、もう大丈夫やわ、ありがとエリス」
「ううん、これがあたしの役割、だから」
そういったエリスはまた回復魔法の準備をするべく杖を両手に持ち魔力を集中させ始めた。
よし、仕切り直しや、蜘蛛やろうッ!