異世界のパンとは
それから三組、合計八体のオークと出くわし、たまに怪我を負いながらも余裕を持って六階層へと通じる階段へとたどり着くことが出来た。
「ふう、やっと休憩ね。明日はゆっくり寝て、ゆっくり出発したいもんだわ」
「おう、マジでな。別に急ぐ旅でもないんやし、ゆっくり疲れ癒してから行くか。それこそ疲れてんのに無理に次の階層行って寝不足でやられたんやったら目も当てられへんしな。...っし。テント完成したぞ〜」
だべりながらテントを説明書通りに組み立て、なれないものの時間をかけて組み上げたテントは店で売られたものよりもずっと綺麗でかっこよく見える。
まあ、そう見えんのは僕だけなんかも知らんけど。
「ご飯の方はもうちょっとかかるからエリスと明日の打ち合わせでもしててちょうだい?心配しないでもあと十分もすれば完成するわ」
そう言ってサリアはこっちに向けていた顔を作りかけのスープの方へと戻した。どうやらあとは熱を入れて、焦げないように時折混ぜるだけでいいようだ。
「で、エリス。明日やけどどうする?今日と同じように通用するかだけ最初に正面切って戦ったら、あとは暗殺まがいのことしてそのまま通過してもええと思う?」
「んん。そう、だね。それでいいと思う。また次の階層がダメだったらまた、戻ればいい」
エリスもやはり同じ考えのようだった。それをサリアに共有し、オーケーを貰った頃にはほとんどサリアのスープは完成しており、いい匂いを漂わせていた。
「お、もう出来たんやな。じゃあ皿によそってってええか?」
「ダメよ。あとちょっとで完成するからカインは食器とかパンを用意していってちょうだい」
そう言ってスープから目を離さないまま手だけでシッシッ、と払われた僕はエリスと一緒に美味しそうなスープの匂いを嗅いでヨダレを垂らしながらパンの準備をした。
ちなみにこの世界でのパンは日本のような白いパンではなく、製粉が甘く、黒くって若干酸っぱいライ麦の黒パンだ。
更に最悪なのが地上で食べる分には若干硬いな程度のパンが迷宮に入る、冒険に行くなどの用途で買った途端にガッチガチで武器になるような凶悪なパンになるってことだ。
こうなると顎の力ではなかなか噛み切れなくなって来る。どうやって食べるかと言うとステータスに任せて思いっきりパンを引きちぎりながら食うか、今サリアが作ってくれているようなスープにつけてふやかしてから食べるかだ。
もちろん僕はそんなステータスに任せて引きちぎるようにして食べるのは嫌なのでスープにつけてから食べてる。
こういう時代において塩だけのスープでもいいから用意する、というのは常識にもなっているらしい。
「よしっ、出来たわよ!スープ皿持って取りに来てちょうだい!」
いょっしッ!晩御飯の時間やぁ!
マジでコロナの関係で忙しい。
実際今だって夜勤中に書いてるし、明後日も夜勤やし。
そうそう、誤字報告くれてた人、ありがとうございました!今確認したらめっちゃ溜まっとってびっくりしました。
読みにくいって感想でも見かけたんですけどちょっとづつでも良くして行けるように頑張ります!