出てきたツノ
サリアの進化を待ち続けること一時間、ようやく進化の繭が割れ始め、進化が完了しようとしていた。
時間にするとそんなには待ち続けていないはずなのだが、緊張するような、例えば今回のような時には繭にヒビが入ってからもすごく時間が長く感じる。
繭が割れた。ついに長い時間が終わり、進化を完了させたサリアが僕達の目に映る。
顔自体は進化前とそう変わった場所はないが、角が伸び、整っていた顔が更に綺麗になっている気がした。
「ふう、カイン、エリス。どう?あたし、自分じゃあちょっと分かりにくいからどうなったか教えて欲しいんだけど。あ、ちょっとツノが伸びた、のかしら?」
「お、おう。なんて言うか、綺麗になった気がする。あとはなんか迫力が出たっつうかオーラが出てる気がする。美人になったからかな?」
なんか自信に満ち溢れた女優って感じのオーラが出てる気がする。サリアはそんなに気にしてる感じはないから自然とそう言う空気が出てるんやろうな。
「そんなに雰囲気変わったのかしら?目立ってしまうのだったら嫌なんだけど」
「うん、目立ってるって程じゃあ無いけどやっぱ前よりかは目立つかな。まあジロジロ眺めてくるやつなんかおらんやろうし、問題はそのおっきく育った角かなぁって思うんやけど」
前はそんなに角が長くなかったから髪に紛れて目立たんかったけど、今はガッツリ巻き角みたいなんが耳の上ら辺から前に向かって伸びてて結構露出してるから明らかに人間には見えへんのよな。
「あら、そんなの簡単じゃない。バカ正直に魔人だって言わなかったらいい話じゃないのよ。適当に羊獣人だとか言ってね」
「えぇ...。そんな手通用するんかな?なんか、もうちょっとええ感じのアイデアないかな?」
「じゃあどうするって言うのよ帽子って言ってもこの大きさの角を隠せる物なんて滅多にないでしょうし」
うーん、確かになぁ。それやったらそう言うしかないんか?えぇ、でもなぁ。
「魔法で隠す、って言うのは、ダメ?」
おおっ!エリス、そのアイデアええかも知らん。
「成程ね、やってみようかしら。『カモフラージュ』...ダメね魔力の回復スピードが追いつかないわ」
ああ、ダメかぁ。じゃあやっぱり羊獣人で通すしかないかなぁ。
「でもこれいいわね。いきなり角が出てくるのは怪しいし次の街に行くまではこれで行こうかしら」
「え?そんなに魔力値が上がったたんか?」
「ええ、前より250位は上がっているわね。で、これの消費速度がだいたい五秒に8くらい、あとはちょっと集中力が必要なくらいね。で、回復速度が一分に五だから絶対に魔力が足りなくなるのよ」
あ、結構ガッツリ足りひんのやな。そりゃあ渋い顔するわ。