どんな姿になったとしても僕達は
「姉さん、どういう姿になるんだろうね?」
「うーん、もしかしたらホンマに光人間みたいになるかもな」
そう笑いを堪えながら冗談交じりに言うとエリスはそれを真剣に捉えたようでいつもの無表情を多分僕らしか分からないくらい微妙にムスッとした顔をした。
微妙にあり得るとでも思ったんやろうかな?
「でも本当だったらどうする?やっぱり野宿しながら次の進化を急ぐ?どうせそんな姿じゃあ街には行けないでしょ?」
「うーん、まあなあ、そうなったら僕みたいに手甲で隠すって手も光が漏れて使えへんやろうから、そういう人外系になっちゃったんやったらホンマにさっきも言った、あるかも分からん『人化スキル』を探すとか、次の進化に期待するしかないやろうな。エリスの言う通り人里離れたダンジョンとかでさ」
ほんまはそんなことしたくないんやけどなぁ。
だってあれやん。あの転生してまもない頃よりかは僕らが街に行くことができるし生活用品から家具までなんでも買えるけどいくら行っても洞窟は洞窟。宿屋にはひっくり返ってもなれんしな。
まあ、もしそうなったとしても僕が最初にいたあのダンジョンにもう一回潜って攻略してれば自然に進化はできるとは思うけどな。
やけどそうなったら今回のこの魔人の進化の遅さで考えたら次の進化まで大分苦労することになりそうやなぁ...。
「ま、そうならんように祈るしかないんやけどなぁ。なんかそんなことばっか言われ続けられとったら僕まで不安になってきたやん」
「やっぱり?だから今わたし、すっごくドキドキしてる」
そうドキドキしながら待つこと1時間、ようやくパキパキ、という音と共に『進化の繭』が割れようとしていた。
「姉さんっ!」