マジョリティマジョリティッ!
襲いかかってきたマジョリティハウンドは二体が最短距離で真っ直ぐ僕らの方へ、残りの三体が機を狙うようにジッ、とこちらを見て動かなかった。
「後ろで動かんやつ見といてくれ。僕は突出気味の一体やるからっ!」
そういった次の瞬間、突出していた一体がスピードを緩めて遅れていた二体に並んだ。
まるで突出していた事を窘められたように鋭かった雰囲気を少し柔らかくしながら。
「ちょっとカイン!あいつ後ろに下がっちゃったわよ!?あんたが言っちゃったからじゃないの!?」
「いや、んな訳ねぇじゃん!多分あいつらのスキルで『念話』があったからそれやろ?ってか来るぞ!」
一斉に飛びかかってきたマジョリティハウンドに対して直剣一本では対処しきれないと判断し触手のようにランスを複数本生やし撃退することにした。
「そら行けぇい!ほいほいほいっ!」
打撃に突きになぎ払い、めちゃくちゃにも思えるような乱打を繰り返し、牽制をする。
チラと見ると、後ろに控えていた三体のうち二体が僕達の後ろに回り込むような動きがあった。
「後ろの二体が動いた。回り込ませんなよ!」
「そんなことは分かってるわよ!『ファイアボール』二連ッ!」
回り込もうとしていた二匹は少し怯む様子を見せたがまだ後ろに控えていた一匹が怯んだ二匹をカバーするように後ろに回り込もうとする。
「防げるかサリアッ!」
「無理、この一匹は防げないわ!」
「わたしが前の3匹抑えるから、カイン。お願い。『バラバラの心』『アンチヒール』」
エリスの言葉を聞きすぐに攻撃する手を止め、回り込もうとしていた1匹を急いでランスを向かわせ食い止めた。
エリスの放った魔法は僕が首に傷をつけたマジョリティハウンドの傷を大きく広げ首を落として見せた。
...まずは一匹、やな。