VSセイルッ!...3
セイルがシンズのすぐ真ん前でショットガンをブッ放した。
その玉は今僕が持っているフリントロック式ピストルより目算1、5倍は早いんじゃあないだろうか。その玉が銃口から発射され、あとから爆発した薬莢から更に玉が無数にとび出る。
纏血?いや、間に合わん、ヤバイッ!
「「「...『風化』。やった、出来た」」」
エリス!?マジ、そんなこといつの間に出来るようになったんや?
ここに来るまで使ってなかったよな、そんな便利なもんがあるんやったら使ってくれたら良かったのにぃ?
「エリス、あんたそんな事出来たの?」
「「「うんそうだよ、姉さん。ちょっと前から練習してた。ただ、魔力の消費が凄くてもう今日はもう使えない、けど」」」
「十分、ありがとなエリス!」
「「「どういたしまして」」」
そう言ってエリスはまた傷を直ぐに見つけられるように若干照れた表情から真剣モードの無表情に変わった。
「聞いたなシンズ。次は無いそうやから気ぃつけるんやで?」
「そういうカインこそ、下手打つんじゃあねぇぞ?」
うん、そういう憎まれ口たたけるんやったらまだまだ大丈夫やな。
ただそっか。全員分の魔道具、それも強化版持ってるんやったら不味いよな。重火器から水の盾、火を噴く短剣に地面を動かせるようになる魔道具なんか、最悪無数に地面から槍生やせるようになってるかもしれん。魔力消費激しそうやなぁ。
「風化、ですか。そんな魔法が使えるとは驚きですね。この戦いを早く終わらせて彼女も持っていくとしましょうか」
やっば、絶対に最悪でも撃退まで持ってかんとエリス、あのキメラみたくなっちゃうかも...。
「とはいえ、僕にできることと言えば纏血、ジャンプ、あとは出血。さてはて、どうしよっかなぁ、困ったなぁ?」
いやちょっと待てよ、あいつって研究者やんな。ってことは訓練とか戦闘とかしてレベルをあんまり、やろうけどあげてないはず。となるとどうやってあんだけの魔力を確保してるんや?
って事は、魔石とか魔力を持ってる物から直接魔力を吸い取るような技を持ってるか、か、あるいは魔力吸い上げ装置みたいなもんを持ってるってことか。
うん、狙い目はそれやな。...場所は?
「シンズッ!セイルはどっかに魔力タンクみたいなもん持ってるはずや、それ狙うぞ!ただ場所が分からん、一緒に探ってってくれ!」
「オーケー、了解。じゃあ怪しい場所をどんどん突いてったらいいな」
「さて、そんな物私にあるんでしょうかねぇ?」
ハイハイ、そんなん相手にしとったら話が進まんやろうて。
それにしても、やっとこれで一歩前進かな?ただ時間はどんどん無くなっていくけれども。
まずは右腕を集中的に狙う。咄嗟に庇う姿勢でもしてくれればええんやけどな。