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未だ見知らぬ進化を求めて  作者: まよいネコ
利用される悲劇
136/190

逃走

「ごめんなさい、待たせたわね!」


 部屋から出てきたサリアとエリスはやはり何時もとは少し違った。

 よく観察してみるとサリアもエリスも、何時も羽織っているローブの下に着けていた鎧を今は着ていなかった。


「カイン、あんたそのままの腕で大丈夫なの?」


 実は僕の方も時間がなかったので鎧はつけたがいつも着けている左腕を隠す用の肩まである鎧を着けていない。

 まあ実際この真っ赤な血で出来ている腕を見られるのが嫌だっただけなので別に問題は無い。何時も篭手をしているのはこの腕を昼間に見られると面倒な事がおきそうだったから嫌だった、と言うだけなのだ。


「おう、鎧一個付けんのも時間がかかるしな。それやったらちょっとでも早く出たいし、それにこの時間やったら一緒にクエスト受けてる奴ら位しか見やんやろうからな」


「でも、質問攻めには、あうかも?」


「まあ、そうやろうけど許容範囲、って考えるしかないやろ。それより逃がしてまう方が問題やしな」


「...それは確かにそうかもしれないわね。じゃあ行きましょ?案内お願いね」


 僕らを呼びに来たギルド職員は最初僕の腕に驚いていたようだが、サリアの言葉を聞いて我に返ったようだ。

 僕に腕のことを聞きたいだろうに、こちらのことをちらちら見ながらもプロ根性を出して、ギルドまで先導してくれる。もしかしたらこういう特殊な体をしてるヤツらは結構多いだけかもしれんけどな。


 暗い道では案外何時も通っている道でも結構分からなくなるものだ。現代の都会では違うのかもしれないが、ここは夜の明かりに照らされることはなく、照らしてくれるのは職員達と僕らが持っているカンテラの光のみ。

 人によっては風情があるというのかもしれないがこの緊急自体の時にはそれは風情ではなく、道に迷い、現場に遅れてしまうのではないかと言う恐怖だけが募る。


 ...着いた、ギルドだ。

 ギルドの前ではシンズが落ち着かない様子で僕らが来るのを待っていた。

 話を聞くとジャクソン達はこの街の生まれだから道を知っているということで先に行ったようだ。

 つまりシンズは僕たちだけを案内するためだけにここに残っていたという事だ。


「ごめんな。待たせちゃったみたいで。で?状況はどんくらい動いてんのや?」


「それは走りながら話す。とにかく走ろうぜ」


 場所に向かいながら話を聞くと、どうやら屋敷のボスから聞き出した敵の本拠地は本当の話だったようで、深夜になった頃その居地から研究員と思われる男たちが数人と、研究道具らしきものをかついだキメラが大量に出てきたそうだ。

 察するに屋敷のボスが襲われたと知った研究員たちがボスから自分たちの居場所を吐いているかもしれないと思って急いで研究所を変えようとしたのだろう。


 状況を聞いているうちにスラム街に入り、シンズが屋敷の周辺で火の魔法が書かれたスクロールを破り、ファイアボールを宙に打ちあげた。

 すると離れた場所で、研究員が逃走しないようにする妨害と居場所を知らせる為、雷が壁のように立ち昇る。


「あそこだな。急ごうぜ!」


「了解、せいぜい頑張るとするかな」


 長い長い夜勤になりそうや。

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