チェイス時々隠し通路?
ちょっと遅刻しちった(ノ)'ω`(ヾ)
...こりゃぁ、あかんな。
誘拐をした男を追跡している中で最初はあった方が便利だと思っていた『グロウライン』だったが、やはりつけた側にも見えるという事は、いつまで経っても拠点が露見する事を恐れて帰らないということでもある。
いや、最初は僕自身もええやんこれ!とは思ったけど、そやんな。そりゃあ相手も馬鹿じゃあ無いんやからそんなあからさまな事したらこうなるわな。
という事でただいま僕達はずっと男を追いかけています。体感的には大体15分くらいかな?まだ僕らは息が切れ始めたくらいやからまだええけど犯人が誘拐したやつを捨てて逃走に入ったらめちゃ厄介やねんかな。
何せこっちも二手に別れやなあかんからな、誘拐された奴を保護する役と犯人を追う役でな。
「しゃあない、サリア、その追跡魔法消して?さすがに埒があかんわ」
「うぅん、そうよねえ。あたしもちょっと思ってたんだけど、この魔法、お蔵入りかしらね?」
「いや、そうでもないんちゃうかな?例えば獣とか魔物、はやってみやんと分からんけど、そこら辺とかはコレなんやろ?とか思う知能がないやろうからな。例えば『○○の魔物を一掃せよ!』とかいう依頼が出とったら結構使い道はあるやん?」
「確かにそうね!うん、じゃとりあえずこの魔法切るわね?」
サリアが指を鳴らせば男にくっついていた『グロウライン』は空気に溶け込むように消えていった。
よっしゃこっからが本番やな、頑張って男が警戒を解いて自分の拠点に帰るまでは気張って追跡しやなな。
「じゃあこっからは足音も控えめにしていくで?」
「「分かった」わ!」
「よし、じゃあ行くで?」
ちなみに犯人の男はサリアの魔法が解けたことで魔力が尽きたと判断したのか、全力疾走からジョギング程度の速度まで走る速度を落としていた。
ただ、後ろをチラチラと見ている事から、僕らがまだ追ってきている可能性ももちろん考えているらんだろう。
「ねえ、あそこが拠点、なのよね?」
暫く走り続け男が一件のボロい小屋の中に入っていった。そこから暫く待ってみたが男が出てこないあたりそこが拠点かそこへ繋がる隠し扉がある場所なのだろう。
「うん、多分サリアの言う通りやと思う。一応中を確認したいから小屋の横に行って見てくるな?」
そっと小屋の横っ腹へと移動し小屋に空いた穴を覗き込もうとする。
だが、穴は綺麗に内側から止められていた。ここの住民ご丁寧にボロく見せて実はどこからも見られませんってやってる辺り、よっぽど中を覗き見られたくないなんかがある訳やなぁ?
僕は当たりを引いた直感を一旦脇に置いておき、『纏血』をドリル状にし、静かに鍵の部分に穴を開ける。
「よし、空いたな。さて、と。中には何があるんかな?...うーん、ビンゴ、って言ったらええんかな?こりゃあどっかに隠し通路があんな?」
先に入って行った誘拐犯の男も誘拐された側も、小屋の中には何方も居なくなっていてがらんとしていた。
僕らは周りを固めてじっ、と監視しとったから見てない間にどこかに逃げたってことないはず、ってことはやっぱ隠し通路、か。探すのめんどいな...。
まあとりあえず二人も呼んで夜までに入口だけ見っけとくか。
「おーい、二人とも!こっち来てええで!」
「やっぱり、隠し通路?」
「おう、エリス、多分そうやな。やから今から三人で何処にあるか調べとくで?」
「でもカイン、そんなこと言ってもこんなに小さい小屋なんかすぐに見つかるでしょ?私達は外で見張ってた方が良くないかしら?」
「うーん、いや、さっさと探して、さっさとずらかる方がええやろ。バレたと思われたら面倒くっさいからな」
「うーん、ま、確かにそうかもしれないわね!じゃあすぐに見つけてあげるわ!」
「うん、頼りにしてる」
でも探すって言っても、床が怪しいところを探してったら簡単に見つかるような気もするけどな?ま、見落としもあるかもやし?
「カイン、わたし、見つけた、かも」
「え、マジで?もう?何処や?」
「ここ、壁が回るようになってる」
ほ、ほんまや!って言うか、こういうアジトって大概は床にある重い蓋開けてや?そこに毒矢がしかけてあったりしてちょっとピンチになりつつも地下へと降りていく!見たいなやつを普通想像するやん!?
何やねん回転扉って!忍者かよ!
「ああ、まじか、絶対地面にあると思ってんけどなぁ、まあええわ、このまんまスラム民に聞き込みしながら帰り始めるか」
案外昼1番にやった『ドキドキ!?本当の情報を見つけろ!!』選手権に時間を食ったんか、もう空が赤らみ始めている。大体四時半、って所かな?ハア、もっと時間短くすりゃあ良かったな。無駄な時間を使ってもうたわ。
結局帰り道の聞き込みもしょうもない情報しか手に入らんかった...。チキショウ!!