,,,ここ何処?
僕は気付けば不思議な空間にいた。
それは真っ黒な空間なんやけど何故か暗くはない。
そこはどこまでも続いてるようで、逆にすぐそこに壁があるようでもある。
その中で僕は手がない、足もない、それでもまったく痛くないどころかむしろ普段が可笑しくて、手足のない白く光る球体みたいな形が僕の本来の形やった様にも思える。そんな不思議な状況。
今気付いたけど、この状態やったら喋れもせんのやな。もしかして僕このまま何にもなくここに1人で放っとかれる?
そう考えると途端に怖くなってきて口も無いのに喚き散らし、自分を見つけてもらいたい衝動に駆られた。
『おぉい!誰か!誰かいやんのか!?頼むから誰か来てくれや!』
そう心の中で叫んでいると、何も無かったはずの空間から滲み出すようにして黒よりも昏い、まさに闇と言えるべきものが出てきた。
『や、こんにちは。君は目覚めるのがはやいね。他の子達はもっと時間が掛かっていたのにね』
『,,,他の子?ここには僕以外の奴もいんのか?いたら合わして欲しいんやけど?』
そう言うと粘体の闇は少し考え込むような間を開けたあとふざけた口調で
『それは絶対に無理だね。何故なら彼らは一足先に異世界に行き、そして死んでしまったからだ!そして君も同じ世界に行き、そして冒険をしてもらう。,,,だけど君には期待しているんだよ?何故ならその姿でいても狂ったりしていないからね。ふつうであれば手足が無い、喋れない、こんな空間にいる、って考えるとみ〜んな可笑しくなっちゃうんだ。それもまた見てて面白いんだけどね?』
,,,こいつは頭がおかしいのか?狂っている姿を見て楽しむ、だって?
『こいつとは酷いなぁ。仮にも僕は五大神として名高い神なんだけどねぇ?』
『事実やろうが。それ、カスみたいな趣味やって分かっとんか?』
『勿論だよ。でもね?考えても見てよ僕らは毎日このなんにも無い場所で世界を管理する仕事をしているんだよ?そりゃあちょっと人間観察したってバチは当たらないさ!』
まあでも此処でこいつとやり合っても僕はなんも出来んのに対して相手は自分を神やって名乗るぐらいには強いんやろうから、まあ争ってもしょうがないか。
せめて僕だけでも他の奴らみたいに死ぬようなことがないようにしやんと。
『そうそう、そういう考え方、僕は好きだよ?そんな君にして欲しいこと、それはズバリ!君に異世界を楽しんで来て欲しいんだ。魔王になるもよし、勇者になるもよし、果ては魔道具を作ったり億万長者を目指すのも面白いだろう!』
聞いてるだけやとすんごい魅力があるけど、それって他の奴らがそうであるみたいに僕も死んだりする危険があるって事やんな?そこんとこどうするつもりなんやろ?
『うん、それは分かったんやけど、それを成すためにいる力はどうするんや?もしかしてチートスキルか?』
『そんな訳ないじゃん!僕が与えたスキルを使って無双!なんて見てて、僕が面白く感じると思う?いいやそれはないね。君にあげるものは、最初に着るもの、あとは2つの僕が適当に目を瞑った状態でダーツを投げ、当たったスキルだけだよ?あ、因みにスキルは予めダーツを投げて決めといたからねぇ〜』
何やそれ、完全ランダムやん!カスみたいなスキルが当たってたら僕はどう生きていけばいいんや!?
最悪森に生まれたとして、野生の熊に襲われてそのまんまお陀仏、なんてことにもなりかねやんし!
『ま、そういうこともあるだろうね。実際にそういう不幸くんは今までもたまに居たしねぇ。ま、大丈夫でしょ!死んだらまた別の子を連れてくるし、ね』
『おい!マジでやめろよ!安全なとこに転移させろよ!?な!な!』
『う〜ん、それはどうかな?ま、せいぜい頑張って生き残ってね?違う子召喚するにしても色々面倒いんだからね?じゃそろそろ行ってみようか!』
と、黒粘体が言った直後、僕の意識は急速に遠のいて行った。
そや!勝手に人の心読んでじゃあねぇぞ〜!
そして気づけば僕は薄暗い森の中にいたのだった,,,
あ〜、最初っからってだいぶ心にくるけど気に入らんかった最初らへんを直せるって考えたら結構いいんかも?