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第32話 オ・パーイの女戦士

 佐藤賢市、71歳はトラックに轢かれ死んだ。

 その幽霊は、異世界の草原にプカプカと浮かんでいた。


 その世界は、見渡す限りの草原であった。

 空には太陽が二つある。


 佐藤の目の前に、女戦士がいた。


「何を見ている?」

「……」


 佐藤は言葉を発することができなかった。


「何だ、貴様は?」


 女戦士は間合いを詰めてくる。


「この世界の者ではない……な?」

「わしは……わしは、この世界に転移してくるはずじゃったのだが……」

「異界からの転移ということだな、しかしお前は、エレメントのようだが」

「エレメント……幽霊ということだな」


 佐藤は「あの女神、新米のようじゃったからなあ」と小声で呟いた。


「ユウレイ? ふむ、よくわからないがエレメントの類であろう。エレメントが異界からの転移してくるなんて、初めてのことだ」

「ああ、わしも生き返らせてもらった上で転移すると言われたのじゃが……」


 と、そこへセイヤが転送されてきた。


「ここはどこだ?」とセイヤは呟く。


 見渡す限りの草原。二つある太陽。

 不思議な光景だとセイヤは思った。


「何だ、貴様は?」


 女戦士は、今度はセイヤにそう言った。


 セイヤもまた佐藤と同様に言葉を発することができなかった。

 というのも、その女戦士の上半身が裸であったからだ。

 しかも、胸が巨大化している。

 女戦士は、ゴブリンとの戦いのためオ・パーイの力を使ったばかりなのである。


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