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第25話 少女の涙

 桂里奈は自分の胸を両腕で抱いた。

 そして、涙を流した。


「(可哀そうなファルコン、ずっと独りで戦ってきたのね)」


 彼女は心の中で呟いた。


「(独り? いいえ、私にはその時その時に相棒がいました。

 皆、死んでしまいましたが)」

「(哀しい。ファルコンは哀しくないの?)」

「(はい。私は兵器ですから、哀しいという感情は持ち合わせておりません。

 相棒が死ぬと、私は他の世界に自動転移されるよう設計されています)」

「(自動転移?)」

「(はい。私はこの世界に自動転移されて来ました。

 しかし、なぜこの世界に転移されたのか……?

 私が転移されたということはこの世界に『大いなる敵』が存在しているはず……)」


 白河桂里奈の頭の中で、ファルコンとの会話が続いている。

 頭の中の会話なので、セイヤはもちろん神崎にも分からない。


 神崎の目の前で、少女が涙を流している。

 彼はこういったとき、どうしていいか分からない。

 優しく肩に手を置いてみたりしたらいいだろうか?


 いや、そもそも彼女にファルコンを触れさせたのは自分だ。

 やはり、自分がファルコンを装着するべきだったろうか? と彼は思った。


「すまない。悪いことをしてしまった」


 神崎は桂里奈に声をかけた。


「いいえ」


 白河桂里奈はただ一言、そういった。


「で、兄貴、ちょっと状況は分からないんですがね、この猫、兄貴が探していた猫っすよね」


 セイヤが、神崎に聞いた。


「あ、ああ、おそらくそうだろう」

「情報屋の田中のやつ、お伽噺がどうとか言ってやがったが、まったく関係なかったすね。

 あいつ、ちょっと〆といた方がいいっすね」


 情報屋の田中がこの後どうなろうが、神崎には興味がない。

 興味はないが、物騒なことは好まないので「〆なくてもいいんじゃないか?」と言っておいた。

 セイヤは「そうっすか」と言った。


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