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初めまして、如月ゆえです。

不定期投稿になると思いますが、温かく見守っていただけると幸いです。


「んん? お前、怪我してるじゃねえか。ちょっとこっち来い」


 できるだけ同じ目線になろうとそろりとかがんで、ゆっくり手を差し伸ばす。ここで急に手を出したりしたら、より警戒させてしまう。


「きゅぅ……」


 小さく鳴いたその動物は、確かフェレットといったはずだ。頑張って後ろ足で立ってはいるが、その後ろ足から血が出ている。1メートルあるかないかのところから呼びかけているのは、自分から寄って来てくれないと治療できないからだ。自分から近づき抱き上げて治療できればいいんだが、警戒心丸出しだし抱き上げて暴れて怪我が大きくなったら嫌だからな。

 何もする気がないのが分かったのか、警戒心を解きよたよたと近づいてくる。


「よしよし、その調子だ。ほら、おいで」


 腕を目一杯伸ばすとフェレットは前足を伸ばして、そのまま倒れこむように眠ってしまった。じわりと血が滲んでいるのを見て、急いで家に帰った。




「しっかしお前、俺が見つけたからよかったものの、他の動物に見つかってたら丸呑みにされてたぞ」


 ぼそりとこの少年、深山みやまひびきは呟いた。腕には治療をしたおかげかすぴすぴと心地よさそうに眠るフェレット。響の部屋の中にはこういった経緯で拾ってきた動物が数匹いるのだが、その動物たちは静かに新たに仲間に加わったフェレットを見ている。


「お前たちも、どうして俺から離れないようになっちゃうんだ? 早く野生に戻らないと、俺がいなくなった時に野生の勘が取り戻せなくなるぞ?」


 いいのか? とでも聞くように響が他の動物たちを見つめる。動物たちは短く鳴き、大丈夫だとでもいうかのように胸を張っていた。


 部屋に動物たちが溢れるようになった原因は――――なんて響は思い返してみる。確か最初は、どこにでもいるようなかわいそうな捨て犬だった。テンプレみたいに、雨の日に「拾ってください」と文字の書かれた段ボールに入った捨て犬を見てしまい、つい拾い上げてしまったのだ。捨てられた子犬のような目で見てくるから……実際その通りであるのだが、そのせいでどうしても見捨てられなくなったのが運の尽きというか。


 更に言えば、普通の家だったら親が断りそうなものだが、あいにく少し金があるのと両親ともに少しズレているというのもあって、普通に受け入れられた。曰く、『あらあらまあまあ、響が犬を拾ってくるなんて。名前は何にするの?』とか、『新しい家族が増えたなあ。餌を買ってこないとな。今からスーパーに行ってくるわ』とのことで。元気になったら誰かに引き取ってもらおうとしていた響としては、それはもう盛大に裏切られたというか。


 そして決め手は、元気になった子犬が響と両親以外の人間を見たら威嚇をするようになり、引き取り手がことごとく帰って行ってしまったことにある。その犬は今現在シロと名付けられ、響の部屋に野放しになっているのだった。


 あれが響が中学生に上がる少し前だったため、響が高校2年生になった今シロも大きくなり仲間も増えているというわけだ。シロと同じような経緯で黒猫のクロも仲間に加わっている。

 響自体、山や森のような自然が好きなのもあって色んなところに出かけていると、今日のように傷ついた動物を拾ってそのまま住み着いてしまったのがフクロウのハク、旅行で北海道に行ったときに見つけてずっと離れてくれないフェネックのギン。そのまま野生に帰そうと思ったのに、離れてくれないし両親も諦めろとばかりに育ててあげなさい、なんて言うから。

 おかげで響の部屋には3匹と1羽の動物が住み着くことになってしまった。しかもみんな野放しで。


「はあ、別にいいけど、母さんたちに迷惑かけないようにな?」


 分かっている、とでも言うかのように動物たちは皆頷く。

 そうこうしている内に眠りについた響の周りに、動物たちが集ってみんなで仲良く眠りにつくのであった。


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