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書き手の気持ち ―読み専向けに作家の感覚を語る―

 読み専向けに、作者はどんな気持ちでPV・ブクマ・感想などを受け取っているのか、という話を書いてみました。もちろん、書き手の方も読んでいただいて問題ありません。


 ただし、様々な作者に大々的にアンケートを取ったわけではなく、私・みなはらつかさの経験と感覚に負うところが大きいことは割引いてお読みください。




●作者にとって重要度が高いもの


 結論から先に書くと、レビュー>感想>評価ポイント>ブクマ>誤字・脱字報告>ユニークユーザー>PVです。


 レビューは文字数がそれなりに要求されますし、他人に面白さを伝える工夫が必要なため、これを書いてもらえるというのはよほど作品を気に入ってくれたんだなと言うのがわかるものです。


 感想もまた、直接応援の気持ちが伝わるので、ものすごく励みになります。ただし、悪い感想は作者のやる気を大きく削ぎます。このあたりについては後述します。


 評価ポイントも重要です。★5が多数ついたら、相当な自信、ひいてはやる気が起きます。


 ブクマも重要ですが、どう頑張っても2ポイントなのでこの位置。


 誤字・脱字報告も地味にありがたいものです。書いてる側は案外気づかないんです、これ。


 ユニークユーザーは読み続けてくれている人の数を示しますが、世の中にはバカにする目的でわざわざ読みに来る性格の悪い人もいるので、信用度としては上記にかなり劣ります。


 PVはそれよりもさらに応援としては劣るものです。もちろん、ある方がいいのですが。


 では、各要素についてさらに詳しく書いていきましょう。




1.レビュー


 前述した通りレビューを書くのは結構な手間がかかりますから、本当に好きな人しか書きません。また広告力として働きますから、応援としては最強の威力を持ちます。


 逆に、けなす目的でレビューを書く人というのはまず見ないので、そういう意味でもとてもありがたいものです。




2.感想


 毒にも薬にもなる厄介なものです。


 好意的な感想は自信がつき、とても励みになります。また、「ここを伸ばしていけばいいんだな」というのが理解できるので、とても具体性があります。


 逆に、非難・批判は作者をとても凹ませます。悪い感想は10の良い感想を打ち消すほどの破壊力があります。そして、多くのこういった批判は、不愉快なだけで考慮するに値しない代物です。


 作者が否定的な意見として求めるのは、強いて言えば「技術的なアドバイス」だけです。漫画の例になって恐縮ですが、漫画でいえば最適なコマ数だとか視線誘導など、本当に詳しく研究した人にしかわからないものがこれにあたります。ただし、「ソフトな物言いに限る」。これ重要です。


 逆に、作風・感性・考証・価値観に対する否定、あとは書き直しの要求。これらは一切ノーセンキューです。作者は「余計なお世話だこの野郎。黙ってブラバしろ」という感想しか抱きません。


 では、好きな作品でこうした悪質な感想を見かけた場合、読者としてはどうしたらいいかと言いますと、いわゆるレスバを起こさず、黙って運営に通報するのが最善です。


 ちなみに、要望は難しいところです。漫画家・久保帯人氏の言葉を借りれば、「読者に作品を見ない権利はあるが、変える権利はない」というのがすべてです。提案が後の展開で採用されたらラッキーぐらいに思いましょう。


 もし、作家に対してコントロール欲求が抑えられないのなら、自作品として書いてそれを昇華するのが健全です。あなたは今、それができるサイトを見ています。当然、一次創作でやりましょう。




3.評価ポイント


 当然ありがたいものですが、★4でも作者は「作品のどこがいけなかったのか?」を考え込みます。★3なら相当深刻。★2以下は言わずもがな。


 ★4以下は、「作品に何らかの欠点があった」という意思表示に見えるのです。「普通のでき」という意志で★3を投じても、「自分の作品は凡作程度ということか?」とかなり悩みます。




4.ブクマ


 ありがたいものではありますが、いつまでたってもブクマと評価者数が釣り合わないと「読んでつまらなかったということか?」とこれまた悩みます。おそらく、多くは「忙しいので後で読もう」ととりあえずブクマしただけだと思いますが、かなり焦ります。


 重要度としては4位につけましたが、逆にブクマが剥がれるのは「読む価値なし」という明確な意思表示なので、作者に大きなショックを与えます。




5.ユニークユーザー


 ありがたいはありがたいですが、やはり「気に入ったなら、応援として直接気持ちを届けてくれ」というのが作者の本音です。




6.PV


 これもありがたいはありがたいのですが、作品の応援としてはほぼ機能しません。作者にとってはPVが多いのにブクマも評価ポイントも付かないというのは、これも「読んでつまらなかったということか?」という不安な気持ちになります。


 もし、会員登録せずに何らかの作品を愛読している方がいたら、ひと手間を惜しまず会員登録して、1~4の形でその作品を応援してあげてください。




●書くのは見るのの150倍以上の手間がかかっている


 なろうでは1分あたり500字の想定で読了時間をざっくり設定しています。実際読む場合も、このぐらいなのでしょう。


 ただし、書く場合はその150倍以上の手間がかかっています。


 1時間で2000字。これが「かなり書き慣れた人」レベルの執筆速度です。そして、ネタを考えたり、情報を調べたり、キャラや舞台の設定を決めたり、プロットを書く時間などがこれに加わります。


 書き上げた後も、文章チェックの仕事が残っています。


 毎日更新がどれだけ作者の負担になるかは言うまでもありません。毎日更新が評価対象として重要視される悪しき文化が滅んでくれることを願うばかりです。




●私が連載を完結させられた理由


 最後に私の話を一つ。


 私は以前、いわゆるテンプレチーレムの連載作品を持っていました。「テンプレならポイントウハウハ」という嘘に騙されて手を染めたわけですが、苦労の割に鳴かず飛ばずな上に、とにかく水が合わなすぎて辛かった代物です。


 ただ、キャラクターに愛着が湧いたのと、それ以上にたった一人だけついてくれた熱心な読者のおかげで、全60話、8万文字強の作品を最後まで書き上げることができました。


 何度も何度もエタろうかと思いましたが、「この人のためだけに書き上げよう!」という強い意志力でなんとか完結まで頑張れたのです。


 熱心な愛読者というのは、たった一人でもそれほどのパワーを持ちます。


 作者に応援の気持ちをきちんと伝えることが、どれほど重要かというお話でした。

 本作を書こうと思ったきっかけは、昨日の私のツイートがバズったことがきっかけです。以下に、誤字修正の上で内容を転載します。


――――


 読み専の皆様へ。もし、気に入った作品があったら、完結前でもバンバンポイントと感想、それとレビューを入れてあげてください。それが作家のやる気に直結します。


 エタる理由の多くは、「手応えがない」ことなのです…。


――――


 多くのRTといいね、そして同意のコメントを頂いたことで「やっぱり同じ気持ちの作者は多いんだな」と痛感しました。


 ただし、同時に一つだけ「駄作は一話でわかるが、一章程度は読まないと好意的な評価は下せない」という旨の、私のツイート内容を勘違いしたリプも付いたため (「気に入った作品があったら」とちゃんと書いてるのですけどね。評価が下せないということはまだその作品を気に入ってないということですよね?)、「ああ、きちんと詳しく説明しないとわからない人がいるんだな」と感じたのが執筆動機です。

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[一言] エタる理由の多くは、「手応えがない」ことなのです…。 それ
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