第五十六話 聖戦舞祭:長戦と化す、二人の聖なる優者(レッツ・ランブル)3
ビュビュビュビュビュビュビューーーー!
凄まじいスピードで全身を高速で回転しながら梨奈に向かっていく有栖川さん!
「それであたしに勝つつもりー!?これでも喰らっちゃえー!<✖ースラッシュ鞭撃>!」
それを見て尚も抵抗する意思が衰えない梨奈はさっきのと同じ<武器限定>の現神術で迎え撃とうとした。
ゴバーー!
しかし、そんな迎撃さえも空しく、回転してる有栖川さんにそんなx字な波動が当たっても事もなく霧散していった。くそー!やっぱり、ただの技じゃなく、最終の必殺技として最後に取っておいた奥義のようだなー!
「だからなによー!これでどうなのー!<赤色中燃炎球>!」
<✖ースラッシュ鞭撃>が破られても沈鬱した気持ちにならずにまだ戦う意気が健在なままの梨奈は次には最も生身の相手の撃退に有効な現神術、あのすごい炎が立ち上るダリスターズで有栖川さんに打ち出した。
バコーー!
「「「なーー!(何ですのー!)(なんでー!?)」
俺、エレンやネフィールはみんな誰もが驚いた。
なぜなら、あの破壊力が抜群な炎系現神術でさえも炎球が有栖川さんの回転してる姿に触れた途端、さっきの<✖ースラッシュ鞭撃>みたいに容易く霧散されたからである。
おい、おい、おい、マジかよー!?
現神術で迎撃しようとせずとも、神使力量を全身に纏いつつ回転していてもあの構えが威力の高いダリスターズをも掻き消せたのかよーー!?
「くー!梨奈ー!あれはなんとしても避けなくてはならないんだぞーー!いいー!」
「わーわかったわよ、ルーく、隊長ー!」
俺の指示を聞いて、後ろへと跳び退った梨奈。
くー!舞台の縁までに下がった梨奈なのだが、果たしてあんな距離までになってもあの出鱈目なコマぐるぐる回転を続けていられるのだろうかー?俺ら二人はまだ飛行系な現神術、ロアンヌを習得してないぞー!
「なにーー!?」
そう。更に力強い神使力を絞りあげたらしくて、前進回転していってる有栖川さんは益々勢いづけたみたいで、さっきよりも早い速度で梨奈の位置へ到達しそうになっているのだ。これじゃどこへ逃げても無駄かも......くそー!
「これはいくら何でも荒唐無稽すぎじゃないー!なんなのよーもう!」
目の前に起こった不可思議な現象に納得いかない顔してる梨奈は少し焦るように鞭を振るって竜巻のような姿と化した有栖川さんに攻撃したり巻き付こうとしたがーー
「だよね~~。はあ.....」
そう。無効化である。まあ、さっきは2種類の強力な現神術を使っても無駄だったから、今度のただの鞭当たりでなにができると思ったほうがおかしいってもんだ!
「森川さんー!(梨奈ちゃん)-!梨奈ー!」
俺ら3人の声が聞こえるかどうかわからないけど、迎撃も回避も諦めたみたいで梨奈は硬直し突っ立つようにしてるだけで動こうとしない。まさかー!?
ゴドーーー!
「ひぎゃあああああああああーーーーーーーーー!!!!!!!!」
凄まじい悲鳴を上げて、かろうじてこっちから見えたのは有栖川さんから閃光のような三閃の斬撃が一瞬で梨奈の身体を直撃させたのがはっきりと見て取れた。
「梨奈ちゃんーーー!」
それを見て、真っ先に声を上げるのはネフィーみたいだ。
ずっと組み手相手してくれた梨奈だから、彼女も心配が抑えられないだろう.......
まだ信じるぞー梨奈ー!
お前がその程度で負けるとか、天地がひっくり返ってもないだろう!
なぜなら、お前は<森川梨奈>だからだ。
俺のずっと傍にいてくれている、頼りの幼馴染だから!
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