第四十六話 聖戦舞祭:赤髪少女VS黒髪少女、開幕
エレンとローザの戦いが幕を閉じて、15分経った、午後6:25時:
「........んん。」
「もう起きましたのー?」
「..........ええ........!?じゃーじゃなくて、はい、でんー」
ぎゅ~~~~っと
「~~~!??」
そこで、殿下が近くで、膝をついて覗き込んでいる最中に、さっきの気絶から覚めて起き上がろうとしたローザだったんだけど、いきなりエレンに抱きしめられたー!
「さっきのごめんなさいですわー、ローザ......ちゃんー!わたくし、貴女と一対一で戦うのが久しぶりでしたから、思わず自分の今の力をローザちゃんに直に感じてもらいましたのー!<リンガ>がありましたから物理的な怪我とかはないように見えますけれども、<頭>で<痛覚>を通してさぞ痛かったんですわよねーー!?なるべく神使力>を抑えたつもりでさっきの<中級紅色強暴巨弾>を打ちましたけれど、痛みはー!?」
「.........んんん.......くー!」
「あれー?」
「エレンー!抱くのきつすぎて、苦しそうだよー?」
「-!?ああ!悪かったですわー!ローザちゃん!わたくしったら~~。今すぐ放しますわねー!」
..............
.....
「どうですのー?」
「はい.......ワタシは大丈夫でございまー」
「はいストップー!」
「-!?」
ローザの語尾を遮ったように、エレンは彼女の唇に自分の人指し指を触れさせたー!
「昔の喋り方のように戻って下さいまし、ローザちゃんー!」
「--!?................さ、さっきも聞こえましたけど、まさか、殿下が昔の呼び名でワタシをお呼びになられるとは........ローザちゃん........だなんて......。懐かしいですな~~。はい!エレンー!そうしますよー!」
「~~~~!嬉しいですわー!それこそ、わたくしのずっと見たかった親友であるローザちゃんですものー! それにしても、さっきの試合は見事でしたわよー!勝てなかったとはいえ、まさか<強風衝突不視大撃までも無詠唱で発動できただなんてーー今までの努力が報われたようでなによりですわーー!」
やっと<エレン>と呼ばれて舞い上がってしまったのか、興奮した表情となったエレンは嬉しい口調のままで、そう捲くし立てる。
「いえ、いえ、それほどでもありませんよ。エレンだって、さっきは気づかない内にワタシの背後に回りこんで、そしてそれで迎撃しようと槍を回転させたくても、なぜか体中が拘束されたかのように動かせなかったんです! エレンの神使力でワタシの動きを封じたんですよねー?」
「ええ、そうでしたわ。.......さて、わたくしもローザちゃんと色々話したいことがありますし、ルーイズ隊長、少しの間、わたくし達をふたりっきりにして頂けませんのー?」
「ん?ああー。そうするよ。梨奈、ネフイー、行こうー?」
「うん!」
「にしっー!」
離れた位置に退行していった俺ら3人は遠巻きに彼女たちを見据えながら、幼馴染同士である彼女たちを微笑ましく見守った。
...................
........
で、20分の休憩が終わりに差し掛かると、
「しっかし、まさかエレンのさっきは第3階梯の技だっただなんて........あんなめっちゃくちゃな威力だったってのに、なんで中級のものなのにも関わらずあんな大規模な大爆発を起こさせられたのかー?」
疑問になった俺はエレンに聞いたが、
「あらー?言いませんでしたっけー?確かに、さっき、わたくしの放った<中級紅色強暴巨弾>は第3階梯の<武器限定>現神術で、大剣使いだけが使用可能でしたけれど、威力はそこそこのもので、本来はさっきのような大爆発は起こさせられませんでしたわ。それに、最初に出現した弾もあれほど大きくならないのですわ。」
「つまり、エレンだったからなのー?」
「その通りですわ、森川さん。わたくし、<ナムバーズ>3位ですからできたんですのよ。」
「...........マジで半端ないな、エレン!それでは、神使力量が膨大だから例え第3階梯の技を使ってもあんなすげえ威力になったんだなー!?」
「にししー!すごかったでしょー?エレン様の実力ー?わたしだってー」
キンーー!カンーーー!コンーーー!!
「休憩の時間は終わりだーー!次の試合、始めるぞー!では、森川梨奈選手、そして有栖川姫子選手ー!舞台上に上がってきてくれーー!」
と、鈴が鳴ったと同時に、会長の知らせが木霊してきた!
いよいよだなー!我が幼馴染の番がきたーー!
「梨奈ーー!」
「うんー!あたしに任せてよねー!必ず勝ってみせるわ、有栖川さんにー!」
「その意気やよしー!有栖川さんに、お前のこの2週間の訓練を経て手にいれた実力、見せてやれーー!」
「喜んで、ルーくん!......えっと、ルー隊長ー!」
俺の励みの言葉になんか、顔が赤くなってないか、梨奈のやつー?
ウインク一つしてはにかんだままの梨奈は、あそこで黒髪ロングを耳からかき上げてもう片方の手を腰に据えたままで挑戦的な笑みを向けてきた有栖川さんに振り向いて、
「じゃ、有栖川さん!次はあたしたちで踊っていくわよ!覚悟しなさいよねー!」
と、短くそう挑発したのである。
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