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第四十三話 聖戦舞祭:揺るぎない君主と臣下の信頼。そして...

「エレンーー!!」

倒れるままになっている彼女へ、声を上げた俺だったが、


「ぬー!?」

「にしー!これからが本番なんだよ、早山体長!」

ネフイールにわき腹を突かれた俺はそう言われた。


「えー?」


「ルーくん、見てー!気絶しているように見えるけど、エレンはまだ剣をその手に握ったままなのよーー!」


「--!?」


その通りだったー!つまりーー!


「エレン選手が倒れたー!数えるぞー!1-!」

ローズバーグ会長がカウントダウンを始めるけど、それを聞き流しながら、倒れてる方のエレンにだけ注目する。


「殿下、もう茶番劇を終わりにして頂けませんかー?殿下らしくありませんよ。さっきの攻防で、ワタシの<裂風纏斬波凶刃ワタガルーシェリタス>をわざとその御身にお受けになられたんでございますねーー?」


「.....あらー?せっかくルイーズ隊長のもっと慌てている顔を見れるかと思っていましたのに、なんで協力してくれませんのー?ファイットレームのいじわる~~。」


「--!?エレンーー!無事だったかーー!よかったーー!」

そう。ローザさんの指摘に対して、苦もなく起き上がっていくエレンが見えたー!


「ふふふ.....。当然ですわ、隊長。わたくしの実力、まだまだ半分も見せて差し上げてないんですもの。まだまだ、彼女にこの遊びに付き合ってもらわなくてはいけませんから、ですわ。おほほほ~~。」

ドリル髪を耳からかき上げながら、かっこよく右手を腰に据えてポーズを決めている最中なエレンである。おおおーー!やっぱり絵になるな、その姿!


それに、半分の実力もまだ見せてないって、ま、まじかよー!?相変わらずスパーガールすぎるな、エレン!


「やはりでございますね、殿下。さっき、いつもワタシの攻撃を避けるばかりで、2回だけが例外であまりその剣を使って攻撃を受けては下さらないんですから、もしかしてー?」


「そう、なのですわ。もしわたくしがこのソヒー・ヨセミンを以って攻撃を受けるものなら、力の込めすぎによって貴方の武器を折っちゃいそうで勝負を早く終わらせてしまう恐れがありますから、あの2回はぎりぎりで神使力をこめすぎないように、気をつけながら貴女の槍による衝撃を別方向へずらさせて受け流しただけですわ。」


「.....つまり、この戦いがもっと長引くように、剣であまり受けたりせずに、今までにずっと避けてきたばかりなんでございますねー?」


「左様、ですわ。でも、そろそろ.....。」

「はい、そうでございますね。」


「ではーー!」

「本物の演舞ダンスを開始しますわー!」「(開始させて頂いておりますよ)-!」


ゴドーーーーーーー!!!


すごい衝突音と同時に、二人が空にまで上る神使力の迸りを身にまといながら、一瞬の間でぶつかったー!剣と槍の生み出す衝撃に、舞台からここにまでその凄まじい風や音が飛んできてるのであるー!


...................


ローザの視点:


「せいいいーーーー!はああーーー!!」

「甘いですわ!」


さっきから、何百回にまで及んだ攻撃を繰り返してきたワタシなんですけれど、その悉くをすべてかわしたり、剣で軽く受け流されてきたままで、一向にこちらから決定的な突破口が見つからないままに、殿下のお守りはお堅いままでございます。


剣で使って攻撃を受け流しましたけれど、それはすべて、あの時のサカラス戦と同じで御身の神使力を極限までに押さえ込んだままで実行なさっておられたのですから、さすがは殿下と言いたいところでございますけれども.........


まあ、そうして下さらないと、こっちの槍の方が一秒でばっきと容易く折れてしまいますけど.......。


「これならどうですのー?それーー!」


殿下が素早い動きで、剣をこちらの喉元に向かって突き出されてきた!


シュウウーーーー!


ぎりぎりでかわせたー!


うむ、こうして殿下と戦うと、少しだけ楽しく感じて、これで昔のことを思い出しますね。


あの時みたいに.......


殿下とワタシが5歳だった頃の、11年も前の事:


「じゃ、エレン。こっちは御主の未来の忠実なる側近の家臣となる子じゃ。はい、ローザ!あちらへー。」


「はー!はひー、へいか!」


あの時、王城にて慌てていたワタシは女王陛下の後ろから隠れているんですけど、陛下に促されたので、前に出てみたら、


「ああー!かわいいこですわー!ね、ね、ねー!?あなたはきょうから、わたくしのともだちとなるこだっておかあさんからきいたんですわよねー?ねー?」


朗らかな雰囲気と共に、満面な笑顔のある金髪ドリルな子、見た目からすればワタシと同い年....ではあるんですけど、どこかワタシより人懐こい感じがして、親しみやすいオーラを醸し出した。あの時、ようやく分かったことは、彼女こそが陛下から聞かせて頂きました、未来の女王様となる、陛下の第一な娘である、エレン姫殿下だってことでございます。


「はー!はひー!わ、わたし、ふつつかものでございますが、ちかいみらいはでんかのそっきんのかしんとなるローザ・フォン・ファイットレームでございます。なにとぞ、よろしくおねがいいたしますー!」


慌てる感じでそれを緊張しながら、いっきに口にしましたけど......


「はい~~リラックス、リラックスですわよー!ローザちゃんー!それー!」


「んー?あー!あはははー!あははははーー!ちょっと、でんか!おやめにー!ふわはははーー!!もう~~!くすぐったいですってばー!はははー!ひひふふー!


そう。気さくな笑みを浮かべたままの殿下はいきなり、ワタシに近づいてきてくすぐりにきたのでございましたー!それも脇腹やお腹のところだけに限らず、胸にも首の裏にまでもー!


「あははははーーーー!!!」


その後、殿下はとっても親身になって、対等な者として接してきました。むしろ、親友とまでに、お互いが思い合ってきました。数年たっても、その関係がずっと続いておりまして........


ワタシはファイットレーム家の一員で、ファイットレーム公爵の一人娘であります。お父様は小さい頃からでもワタシに対して、厳しい方で、いつも貴族のなんたる者であるか、きつく教育を施してきました。将来はこの王族の側近として務めることが伝統の家柄ですから、幼い頃から、いずれは殿下に仕えることに関して、意識のすべてを向けさせられました。


なので、やっぱり、ワタシ達は本来、主と臣下の立場がございます。


「ね、ローザちゃんー!待ってくださいなー。なぜ急にエレンと呼ばなくなっていますのー?昔みたいに戻ってくださいな~~。最近のローザちゃんの態度、なんか冷たくなりましたわよー?なぜそうなりましたのー!?」


10歳の時に、しょんぼりしたお顔になられた殿下でございますけれど、それも仕方なく、ワタシがもっとお堅い口調となって殿下と接しはじめたのが原因でございましたから。


いつまでも子供のままな精神でいられる訳でもなくて、5年前の頃から気づかされました。家族からのきつい命令だけじゃなくて、どこにいても周りの人にそうであるように求められてきましたので、謹んで、我が主に対して然るべき態度や言動で接しなくてはならぬと、自覚しております。


でも、それが却って、殿下をもっと寂しくさせてしまうことになりましたので、せめてのお詫びとして、この瞬間だけ、殿下と楽しく、ヴァルキューロア同士の<演舞>を十分に満喫しようと思っております、はい。


だって、殿下はワタシにとって、ただの主だけではなく、とっても大事な<親友>で掛け替えのない、大切な仲間なのでございますからー!


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