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第二十八話 早山ルーイズサイド:会長の決断

「ルゼーヴィンヌくん、どういうことがあったのか、生徒会室で説明してもらうんだな。じゃ、シェールベットくん、<大重緊縛脱出不能エヒーライザー>をアスリン国の姫にかけているので、身動きが取れないようにしてやったから彼女を運んできてもらえる?」

「...はーはいー!わかりましたわー、会長ー!」

「よろしい。では、私は事務仕事がたくさん控えているので、先に戻っていくよ。」


そういう会長は生徒会室へと戻るべく、足早にこの場から移動していく。

「ほーう! では、ルゼーヴィンヌさん。森川さんに対してあんな.....破廉恥な行為をしようとした理由.....あっちでじっくり聞かせてもらいますわー。」

難なくエレンはルゼーヴィンヌ先輩を肩に担いで、ローザに伴われて立ち去っていった。というか、さっきの2年生である会長といい、仲間3人までもがあの王女に対して先輩とは呼ばなかったけど、もしかしてここの世界って、日本のように<年功序列>意識がないのかー?だとしたら、多分、権力や社会的権限、および才能や実力によってその人物の価値が決められるみたいな制度とかあるかもね。


「にしー。森川さん、さっきは災難だったね~~。」

暢気にそう言いながらこっちへと走ってきたネフィールである。そういえば、彼女は生徒会に属してないんだっけー? それに、一年生のエリーゼも生徒会の人間じゃないけど、様子を見にこの場にやってこないって何か手が放さないような宿題でもやっているのかー?学生として。


「う.....うん.......」

言われたら、さっきの出来事を思い出してしまったか、俺の隣に急に真っ赤になっていく梨奈がいる。


「ルーー!さっきは何があったのー?森川さんがなんかさっきの女子生徒に至近距離まで顔を近づかれたけど、まさかあれってー!?」

「痴女なんですか、さっきの女の子はー?」

口々にそう聞いてきた遼二や有栖川さんがいるので、


「ああ......ええ、説明するよー。」

包み隠さずに、すべてを語り終えた俺。その間にここから去っていった女子生徒も加えて、静かな屋外でのおしゃべりが出来る。


.............

「.........ぷー!ふふ....あはははははーーー!!」

「.....ひひー!あはひひひひひーーー!!」

「....にしー!にししししははひー!!」

俺の話を聞いた3人は揃って爆笑しやがったーー!おいおい、何がそんなに可笑しかったんだー!? 知らない女の子からキスされそうになったこっちの身にでもなってみろよー!(まあ、確か女の子からとはいえ、親しみな関係にない赤の他人から唇を奪われるのは違うなーーって思っても心の奥底からはどこかラッキだなーってちょっぴり思ったのは、男としての性だ.....。


「まさかー!まさかお前がそんな目に会ってたとはー!それにまたトイレだしー!あはははひひーー!!(というか、僕もエリーゼ先輩と<あれ>に遭遇したのってトイレの中だったっけー?)」

「早山君、森川さんー!お唇の純潔が守られたままで、何よりでしたねー!ふふふははーー!!」

「にしししーー!アスリン王国のルゼーヴィンヌ姫は変人なのは知ってるけど、<奇跡の子>である早山隊長に惹かれてキスしたくなるってこれはまたも変なのに目をつけられてるようね~~~。羽山隊長~~~。」


仲間3人からずっと笑われた。もういいよー!ふと隣を見てみると、梨奈もまださっきの同性からキスされそうになった恐怖体験からの名残が抜け切れないままなのか、ずっと無口で顔を赤面させているようだ。


「し....しかし、森川さん。何故、彼女......ルゼーヴィンヌ先輩が君に対しても、口付けしようとしたのか、心当たりとかないですか?早山君になら、分からなくもないけれど、君は彼女と同じ性別ですよねー?もしかして、彼女は両刀持ちなのかしらー?」

「そーそれはあたしにもわかんないよーー。ルーくんの様子を確かめにやってきたら、どうしてもルーくんとキスしたいと一点踏ん張りで詳しいことも説明してもらえずに、ただただ<神の聖騎士>だからって理由だけであたしたちに接吻を求めてきたのよーー!もう~~、何が何だったかさっぱり分からなかったのー!」


有栖川の問いに対し、押さえつけられた感情がいっきに堰を切ったようにあふれ出した。


で、みんながさっきの事件に対してあれこれ持論を持ち出して話し合ってきたら、5分以上もたったー!

「ああ、まずいー!今は3時間目の授業のはずだよねー!?早く戻らないとー!」

「わー!そうですね。じゃ、行きましょうかー。」

「ええー!」

「......うん。」

梨奈だけ気分が晴れないままなのだが、それでも学生として授業を受けなければならないので、教室へ戻るしかないのだ。行こうー!梨奈.......。


生徒会室にて.......

バーーータンー!

「もうーー!ルゼーヴィンヌさんー!さっきはどうして早山隊長や森川さんに対してあんな..........乙女らしくない品格の欠片もない行為に及んだか、本当のことを教えて下さいましー!彼らの正体は<神の聖騎士>であるということをご存知なのは同じ王族として、先方の現女王さんに教えてもらったのはわたくし達として既にお互い知ってる情報なのですけれど、一体全体何故に彼らにあんな.........こと~~しようとしたんですのーー!? 」


机を叩いて、尋問中のルゼーヴィンヌに怒鳴ったのは金髪ロングを振り乱して眉間に皺を寄せている副会長、エレン・フォン・シェールベットなのである。


「..............それについては話せない、。ご了承下さい。シェールベット殿。では、ワタシは忙しい身なので、この王都で我が王家が買い取ったマンションに帰って<昇天するための七つの方法>という本を早く読みたいので、帰らせてくれないかー?」

淡々とした口調でそれだけ冷たく返事したルゼーヴィンヌ姫である。」


「~~~~~!~~~~何をいってるんですのー!? 現在の時刻は午前10:50で、まだお昼の時間でもないのに帰宅したいですって~~~!!? もう許しませんわー!外交問題になっても知りませんので、貴女が真実を吐き出すまでに絶対にこの学園から出してあげませんわー!会長ー!ご決断をー!」


ますます憤怒していくエレンだったが、それに対して、涼しい顔してこう返したルゼーヴィンヌ姫、

「よほほ.....何をそんなに怒っているのー?もしかして、去年のランキング戦でワタシに負けたことに関してまだ根に持っているのかー?くるくる髪な弱っち王女さん~~?よほほほ~~~。」


「あら?それをいうなら、貴女だって変な笑い方しているばかりで、わたくしより一年も年上なのに関わらず、自堕落な私生活を送ってきたと噂されてるのを聞きましたわよー?戦うことに関してばかり夢中な典型的な脳筋女ですわー。おほほほ~~。」


ルゼーヴィンヌ姫の挑発に対して、同じようにエレンが片手を口元に寄せておほほと皮肉の込めた笑い方を含ませながら嫌味のつもりで言い返した。


で、その一連のやりとりに最後に、ローズバーグ会長は、


「まあ、まあ、落ち着いてくれ、シェールベットくん。あっちがその気でいるなら、こっちも対処する方法があるぞ。」

「ええー?」


肩に手を置かれてそう言われたので、首を傾げて会長の言った言葉の意味がわからない様子のエレンだったが、構わずに会長が向こう側に座っているルゼーヴィンヌ姫に歩んでいった。


ちなみに、その姫様は会長の<金縛り重縛薄霧ナイヤー>の効果内にあるので、そこから一本の指も動かせない状態である。


「では、失礼するぞ。」

「--ぐっー!」

姫の近くまできた会長はがっちりと彼女の頭を両手で掴んで、そしてー。


脳内記憶透視イズーヴシェレー

そう唱えた会長はルゼーヴィンヌ姫の頭の中の情報を引っ張り出そうとする。

その現神術が発動中なので、会長の両手を通して、姫の体験してきたここ数日前の記憶が次々と走馬灯のように会長の脳内に流れていっている。


「うむ、ここかー?」

とある場面に差し掛かったら、脳内に流れてくる映像の再生速度を急激に遅らせた会長はゆっくりとそのシーンを視聴している。その場面は、アスリン王国の王城にて、女王の私室で会話中の彼女とその娘であるルゼーヴィンヌ姫なのだ。


「---これはーー??」

そう。会長は知ってしまったんだ。

<神の聖騎士>の本当の性質や能力っていうのをーー。


(どうー?これは紛れもなく、我がシュフリード王国にとって、最高の有意義な情報となる。もし彼らを自国の国民として迎えいれた場合、たとえ最悪な状況に陥って、前代未聞な高級ランキングの神滅鬼の軍が真っ先に我が国に襲い掛かっても、彼らと体液交換すれば、私含めて5人で討伐できなくもないはず。そうなれば、我が民の中に犠牲を最小限に減らせるかもしれぬ。じゃ、ここで、私のするべきことはーー??)


「会長ー?どうでしたのー?何かが見えましたのー?」

「.......?」

あっちの王女の頭から両手を放した会長がいきなり黙り込んで何か考え中なので、エレンやローザが不思議な表情しているようだ。3カ国からの3人の王女もいるこの室内に、ローザだけは貴族家の娘なのは奇妙な構図にも見える。


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