第十六話 春介遼二サイド:腐っていく女の子達
「ううぅんんん...........」
なんだろう......
お腹の辺りに重みが感じるというか........まるで誰かが僕の身体に馬乗りしてるような感覚がしたんだけど.......もしかするとーー!?
「こらーーー!!有栖川ーーー!!!」
完全にまどろみから目覚めた僕は半身を起こして至近距離まで見れる彼女の顔に怒鳴った!もちろん、怒ってるんだとも!だって、同級生の男子が寝てる間にお腹の上に両脚を開いてる姿勢で乗っかてくる女の子って普通じゃないことだーー!
「ふふふっ.......おはよう、遼二君.....座れ心地ってどうですかーー?気持ちいいんでしょう.....?」
「気持ちよくないわーー!.........ったく、もう止めてよね、こういうことするのって。僕だって思春期な男の子だ。......もしこれ以上誘惑されたり挑発が続いていれば、いつか理性を失って獣と化す時だってあるかもよ....?」
もちろん、そんなことは絶対にしないんだけど、こういうのを止めてもらうためには脅すように忠告してやることしかない。でも、確かに気持ちいいよ、こんなのって。だって、股を開いてる状態の有栖川は僕の腹部で女の子座りしてるってのを見るだけでも刺激的だというのに、このすべすべとした柔らかいパンツやタイツの感触も同時に味わわされたら、もうあっちが大変なことになっちゃいそうで、マジで困ってるんすけどーー!
暴発したりとかしてしまえば、寸止めを食らって悶々とした一日を過ごされる羽目になったら、どう責任取るお積りっすか、有栖川令嬢よーー! と、よくよく見れば、今日はいつもの黒い色のタイツではなく白いのを履いているようだけど、どうしたのかな......?確かに、衣服、衣類は寮母さんに頼めば、予備もものがいくらでもあると聞いたけれど、いつも愛用していた黒い奴を履かなくなるなんて......。
「.....もう...。何を血迷っているのかしら、遼二君ー?私は有栖川姫子なんですよー?有栖川財閥の時期後継者で、複数の武道と武術も身についている立派な女性ですよ。この世界にきて身体能力も上がった今の私なら、君がそう簡単に組み敷いてこれるようにはできないはずです。」
「.....まあ..。さっきは言葉の綾というか、とにかく!こういうの止めないと、こっちとしても強硬手段に出て止めさせるしかないってわけだー!これ以降、肝に銘じておけよなーー、このエッチな少女はー!」
「.....ふふふ....こういうのされて嬉しがってるくせに、何をそんなに嫌がっている振りしますか?それに、こっちの方もなんか硬い塊がむくむくと膨らんできましたし、さっきの君の言葉に説得力は皆無のようですね、ふふっ.......。相変わらず照れ屋さんですね、私のペットは......。」
こいつと話すと頭も疲れてくるので、取り合わないようにして着替えの為に彼女を部屋から追い出した。部屋にある洗面所で顔を洗ってから、学園の制服に袖を通して、部屋の外で待機している有栖川を連れて寮の食堂で簡単な朝食を取ってから、登校するために二人で寮の玄関を出た。
僕の部隊に所属してるエリーゼ先輩やロザさんはエレン姫がここの寮へ引っ越してきた先日と同時に王城から寮にも生活を始めるようになったけど、今朝はロザさんは見かけなかったからきっと生徒会の仕事で早出に登校していったんだろうね。じゃ、エリーゼ先輩は?.....2年も留年してきたから、きっと自室でまだ寝てるんだろうなぁ.....。まあ、こちらも起こす義理はないし、もし遅刻とかになって単位を落としていくならそれは彼女の自己責任でお願いするとしよう、うん!
「ね、ね、見て!<奇跡の子>の白い方が友人であるその有栖川姫子っていう子と一緒に登校しているよーー?」
「わーー。本当だ!相変わらず仲いいね、あの二人。何年も前から付き合いがあるような間柄だって聞いたけど、もしかして恋人同士なのかしら?」
「ううぅぅ.....そうでないといいなぁ......だって、あたしは彼の方すごく気になって、もっとお近づきになりたいというか......いつか、声もかけにいきたかったのにああいうの見せられたら、.......しくっ.....。」
学園の玄関へと続く長い道路を通っていたら、他に登校していく女子数人から何度か僕たちについて話し合ってた子がいるな。まあ、女の子だし、きっと恋愛話が好きで僕とこいつとの関係について喋っていたようだけど、実態はそんなに甘ったるい話ではないがな.....。だって、こいつはドSなエッチな子だけど、僕はそんな興味ないしもっと清楚な感じの子が好みというか.......
なので、恋愛面で考えれば、こいつはアウトだな、色んな意味で。というか、エリーゼ先輩も堪能小説を書いたり、エロいことして取材しようとするようなはしたない子だから、どうして僕の周りに変態な女子しかいないんだーー!ラノベじゃあるまいし、まさかリアルでもこんなことになろうとは........。まあ、でもロザは生真面目で武人って感じの子だし、強いているなら彼女の方が僕好みに見えるけど、果たして彼女にも裏がないと断言できるのかな......変な趣味とかなければいいんだが.......
それにしても、ゾウーレツって温泉町にルーと彼のハーレム....じゃなくて!仲間たちが昨夜だけ一夜で泊まったけど、ちゃんと間に合ってこの学園へやってこれるのかな........確かに瞬間移動できるような手段があると女王がいったんだけどさーー。
「----よおおーーー!!遼二ーーー!!」
この声?まさかー?
「-!ルー!!?待ってたぜーー!君が無事であの化けもん共をやっつけて戻ってくるのをーー!」
そう。声のした方向に振り向いてみれば、やはりアフロ髪の親友が笑顔で走ってきて、僕の近くまで来たらハイタッチしてきた!
「まあね。でも、すべては俺の力で成し遂げたものじゃないよ?梨奈もエレンもネフィールもみんな頑張ったんだから、力を合わせて任務を成功させただけに過ぎない。」
「それでもすごいよー!だって、一つの個性あふれる面々が部隊にいてそれを率いている君なのだから、初任務で大成果を掲げて期間してくるとか、マジでルー隊長って呼ばれても納得いくような采配ぶりだと想像できちゃうよーー!」
「あはははーー!!それほどでもないよ、遼二!たまたまに皆が適当に自分にできることをやったまでのことだーー。俺もただ当たり前のような支持を出しただけだったし、そんなに褒められるようなことしてないぞ。」
たとえきみがそう思おうと、異世界へ4人で飛ばされてきて一つの戦闘を専門にするような部隊を人生はじめて率いるきみが仲間と一緒に敵を撃退できたもんだから、少しぐらい褒められろよ、友よーー!
「早山くん。無事に帰還できてほっとしますね。こうして戦いから五体満足で帰ってこられましたから、私としても仲間である君が元気にしているのを見てると安心しますから、その髪の毛を触らせてもらってもいいでしょうか?」
またきたねーこういうのってー!アフロ髪は僕ら日本人にはないものだから、どSな彼女はペット感覚もあってか、時々ルーの髪を触りたがる有栖川がいるようだけど、親友をあまり困らせるようなことするなよー!彼には森川さんがいるのだから、勘違いされてもしらんぞー!
「.....えっと.....あまり長くしないでよねー?周りが見てるから.....。」
「ふふっ......分かりますよ。遼二君の親友である君ですから、少しだけの間、頭を撫でられて下さい。おおー!確かにこの触り心地っていいですねー!もふもふ感がしてきてまるで着ぐるみみたいですっ!」
「ああー!くすぐったいよ、有栖川さんー!」
と、ルーの頭を撫で撫でしてる有栖川がいるようだけど、ふと見てみる、彼女も一瞬僕の方に振り向いてウインクしてきたー!
(大丈夫ですよ。これはただの友人と戯れるだけの何気ない行動であって、特別な思いでやってるわけじゃない。君の方は私の唯一、一番に思っている<ペット君>ですからね、ふふ....)といわんばかりの表情してんな、あいつ。
「そういえば、きみんとこの子たちってどこいいるんだい?姿はー」
そう。ルーの女の子達が不在のを見ると、つい疑問を口にしたら、
「ルーくん、待ってーー!」
「ルーイズ隊長、通学路であるここをあまり走らないといいですのよーー!?ここは登校していく子っていっぱいいますし、そんな速度でぶっつかっちゃってたら、彼女達を一方的に傷つけちゃうですわよーー!」
ああー!たしかにいたな!森川さんにエレン姫も!僕、有栖川やルー3人のこちらの方に向かってゆるい速度で小走りにやってくる。周りにいる女の子とぶつからないように慎重に近づいてくるようだ。
「にしっ!早山隊長ーー!親友君と会えて嬉しいのは分かるけど、ほどほどにしないと君は本当は同性愛者だってことが周りの子達にばれちゃうよーー!?」
ん?二人と共にかけてきたネフィールって子もいるようだけど、さっきは聞き違いかな.....?
って、おいーー!
「「「「--!!!!----」」」」
そう。有栖川も森川さんもエレン姫もルー自身もみんな絶句したような顔を浮かべ始めるぞーー!
「........ね、リンファー?さっきのネフィールさんの言葉って、聴いたのー?」
「え....ええー!聞きましたよー!あれって、本当なのかな.......。」
「まさか、あの黒い方の<奇跡の子>って、その白い方のことがお好きなのーー!!??」
「ええーー!!?なにそれー!両方は男の子なのにーー!?それに、さっき言った<同性愛者>って、まさか彼らってそんな関係なのーーー!??」
「へええーー!?それはないであってほしいなあー。だって、わたし、あの黒い方の彼、......えっと、確かににお名前は早山くんだっけー?の方が気になりすぎて、いつか声かけてみようと思ったのに、いきなり男だけが好きとか絶対にないよーー!」
「真相は誰もわからないままなのよ、シェリー?もしかしたら、早山さんだけがそっち系で、白い方が一方的に片思いされているだけなのかもしれないよー?」
終わった......
あらぬ噂話が飛び交い始めやがったーー!あの緑髪の子の所為で!
隣のルー、有栖川、森川さんやエレン姫の表情をみてみると、彼ら困り果てたような苦い顔をしながらため息をついてから、ネフィールの方に向き直って凄い怒りの目で睨んだ。
本当に悪戯や人を過剰にからかうのが好きのようだな、あの子。
おそらく彼女は普通の性癖をしていて、別に男同士の性的な絡みが好きってわけじゃないように感じるけど、からかい方が極端すぎて、周りを勘違いさせてしまうよな。
それにしても、さっきの話し声からしたら、どこの世界に行ってもいるようだな、<思考が腐っている女の子>って。
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