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「フ、ファイ!ガルム先輩にシシオ先輩!」


リリアナが気合いを入れて三人を呼ぶと…


「なぁに~?」


「なんだ?」


「どうした?リリアナ」


ファイはとびっきりの笑顔で…ガルムとシシオが真剣な顔でリリアナを見ると…


「え、えっと…」


リリアナがモジモジと手をいじくり下を向く…


「どうしたの?」


ファイが優しく聞くと


「あのね…私みんなで丘の上でご飯食べたいんだ…だからちゃんと登るけど…あの丘の上に行かない?」


シュカが後ろで頭を抱える…


「どこがお願い?」


「どこがわがまま…」


リードとナッツも呆れると


「勿論!リリアナが行きたい所に僕らも行きたいよ!」


「ああ!全然構わないぜ!なんなら湖が見えるあの丘がいいんじゃないか?」


「湖!?」


リリアナの顔が輝く。


「でも…あそこはアイツの縄張りだぜ…五月蝿いぞ…」


「あっ…そうか…違う所にするか?リリアナ?」


シシオが聞くと…リリアナはちょっと考えて…


「湖の所に行きたい…です」


「「えっ?」」


「私!みんなと湖を見ながらご飯食べたいです!…駄目かな…」


強く言ってはみたものの…不安になり伺うように聞くと…


「「「大丈夫!!!」」」


三人は笑顔で親指を立てた。


「あいつらで試した俺が悪かったのか…?」


シュカがなんか違うと項垂れていると…


「そうだね…あの組み合わせが不味かったね…」


ナッツがうんうんと頷く。


「頼む相手も頼む願いも間違ってますね」


リードが答えると…


「でも…一度反対された事を自分の意見を通したからな…まぁ良しとするか…」


すると、リリアナが笑顔で戻って来ながら


「シュカさん、シュカさん!私自分で行きたい所があるって行ったらみんな大丈夫だって!湖が見れるんですよ!楽しみです!」


嬉しそうに顔を赤くしている…


その顔についついシュカも綻んでしまった…。



「じゃあの崖越えて行こうぜ!」


ガルムが目の前にそびえ立つ崖を指さすと…


「なんだ?湖ってもしかしてアイツの所か?」


「そうだけど近づかなければ大丈夫でしょ?」


シュカがファイにそっと聞く…


「それに、リリアナのあんな可愛いお願い聞かないわけにはいかないしね~」


ファイが嬉しそうに答えると…


「じゃリリアナは僕が運んであげるよ!」


ファイがリリアナの手を取ると…


「ここを登るの?」


リリアナがびっくりして崖を見上げる。


「大丈夫!僕らならすぐだよ!」


ファイが得意げに答えると


「リードとナッツも登れるの?」


「うん!問題無いよ!リリアナは僕らが運んであげようか?」


ナッツがリリアナを見上げると…


「えっと…私の力じゃ登れそう無いから…お願いしたいけど…私より小さいリード達に頼むのはちょっと…」


申し訳なさそうにリードとナッツを見ると…


「そうそう!チビは引っ込んでな!」


ファイがシッシッとリード達をあしらうと…


「ファイも…私とそう変わらないもの…やっぱり悪いわ…」


ごめんねと困った様に笑う。


「あはは!ファイ残念だな!じゃしょうがない!大きな俺が運んでやるよ!」


ガルムがしょうがないと胸を張る!


「いやいや!毛むくじゃらより俺だろ?リリアナ来いよ!運んでやる!」


シシオがガルムを押し退け前に出ると…


「なんだ?シシオじゃ無理だろ!お前には繊細さがない!」


「何ぃ!ガルムだって同じもんだろ!どうせ荷物みたいに運ぶんだろ!」


二人がもめ出すと…


「ふ、二人とも…」


リリアナが止めようとすると…


「リリアナ、ほっとけ。ほらこい俺の肩に乗ってろ」


シュカがヒョイっとリリアナを肩に乗せると…


「チビ共も乗れ、隣でリリアナを押さえてろ」


ピョコ!


リード達の耳がピンッと立つと、ピョンとシュカの体を登りリリアナの隣に座った。


「リリアナ大丈夫?怖かったら僕に掴まっていいからな!」


「私は落ちないように捕まってあげますね」


二人がガッチリとリリアナをガードすると…


「ばーか…折角のチャンスを自分で潰して…」


クックックッ…


ファイがざまぁみろと不敵に笑う。


登り始めているシュカ達を見て…ガルム達はガックリと後を追いかけた…。



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