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「め、雌豚?」
「酷い!」
「信じられなーい!」
三人が顔を歪めると…
「ファイ!リリアナはどうしたんだ!」
ガルムがファイに声をかける
「聞いての通りだよ…こいつらがリリアナを傷つけたんだ…しかもこんな不味いもん飲ませやがって…」
そう言って女達の上にジュースをこぼす…
「「「きゃあー!」」」
服を濡らされルル達が叫ぶと…
「何すんのよ!」
「最低ー!」
「苦ぁーい」
ルル達がブーブー文句を言うと…
「うるせぇんだよ…黙れ…」
濡れた場所が徐々に凍っていく…
「さ、寒い…ちょっと!店長ー!出番よ!」
ルルが震えながら叫ぶと…
「さっさと店長にのされちゃいな!ちょっといい男だと思って優しくしてあげたのに調子にのんなよ!」
「早くやっちゃって!」
「謝ったって許さないんだから!」
女達の化けの皮が剥がれていく…その可愛かった顔は歪んでいた…。
「何かあったのか?」
店の奥から大男が顔を出す…従業員達と揉めているファイ達を見ると…
「フ、ファイ様?」
大男の顔色が真っ青になる。
「お、お前たち!何したんだ!この方は魔王様に仕えるハク様の家臣のファイ様だぞ!」
「ま、魔王様?」
「何それ?聞いてない!」
「だから止めようって言ったのに!」
ナナの言葉にルル達が反応する…
「何言ってんのよ!やろうて言ったのはあんたでしょ!」
「姉さん酷い!私のせいにする気!いつもこういうことするのは姉さん達じゃない!」
「うるさいんだよ!その口を閉じろ!」
パーン!
ルルがナナの頬を思いっきり叩いた。
「いたーい!見て下さい!この人達すぐに暴力を振るうんです!」
ナナがファイに助けを求めようと縋り付く。
目を潤めてか弱げにファイを見上げると…
「気持ち悪いんだよ…触るな」
ファイは手荒くナナを突き飛ばした。
「なっ!痛っ!」
ナナは地面に顔から落ちると…
「ぎゃあ!私の顔がー!」
ナナの顔が真っ赤に爛れていた…
「ぶっ…いい気味…あんな不細工なのに色目なんて使うからよ…」
ララがファイの前にたつと…
「姉と妹が申し訳ありません…どうしようもない者たちで…煮るなり焼くなり隙になさって下さい…もし宜しければ私がいたしますが…」
ララがファイを見つめると…
「どうするの?」
ファイが聞く。
ララはニヤッとほくそ笑むと…
「ファイ様の思うがままに…私もなんでもいたします…」
「ふーん…なら死んで…」
「はっ?」
ファイの言葉に思わず聞き返す…
「えっ…死んで…?」
「聞こえてるのに聞き返さないでくれる…本当に使えない奴だな…それとも自分は使える奴だとでも思ってるの?もしそうならおめでたいね!」
はははっ!
ファイが笑うと
「クッ…」
笑っているファイを睨むと…
ザンッ!
「ぎゃあー!」
ララが顔を抑えて転げ回る…手からは赤い血が流れていた…
「顔がぁー顔がぁー」
「そんな気持ち悪い顔こっちに向けないでくれる…」
ファイが上げた手をそっと下ろした…