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「何あれ?」
ファイが冷めた目で声をかけてきた女達を見ると…
「可愛いお店!なんのお店かな?」
リリアナが食いついてきた…
「リリアナ…入りたいの?」
「駄目?みんな違うお店がいい?」
リリアナが伺うようにみんなを見ると…
「行こう!なんでも食べていいよ!」
「好きなの選べ!」
「いくつでもいいぞ!」
ファイ達が店に向かうと…
「「「いらっしゃいませ~」」」
フリフリのピンクのレースが付いたエプロン姿の女の子達が笑顔でお出迎えをする…
「担当に付きます。ルルで~す」
「いえ~私が本当の担当のララですぅ~」
「姉さん達失礼ですよ~私が担当しますわ!ナナと申します、なんでも聞いて下さいね」
ルル、ララ、ナナがファイに向かって笑顔を向けると…
「なんでファイばっかり…」
「やっぱり顔か?」
ガルムとシシオが悔しそうな顔をすると…
「お兄さん達もどうぞなんでも言ってくださいねぇ~」
ルルがガルムとシシオにもニコッと笑いかける。
ファイは三人を無視して…
「リリアナはどれが食べたい?」
甘い声でリリアナに話しかけると…
「声も素敵ですねぇ~宜しければあちらで特別なメニューなんてどうですか?」
「特別なメニュー?」
ファイが怪訝な顔を向けると…
「はい~!私達が食べさせるサービスもありますよ~」
ルルが自信満々に答える。
(このサービスで落ちなかった男なんていないわ…)
口の端をクイッとあげると…
(ルルのやつ抜け駆けして…取られてたまるか!)
「おにいさんの好きな子を選んでいいんですよ~」
私達もいますよ!と他の二人がアピールすると…
「好きな子を…」
「「「ええ!」」」
三人が自分を!と前に出ると…
「じゃリリアナと!」
「あっずるいぞ!ファイ!俺もリリアナがいい」
「なら…俺も…」
「えっ?みんなで食べようよ、私…これが気になるなぁ~お姉さん、これってどんな味ですか?」
リリアナがお姉さん達に笑顔で聞くと…
ルル達はファイ達には聞こえない声で…
「……見ればわかりますよね?」
「味も何も見た通りなんだけど…水にシロップが入ってるだけだし」
「砂糖水も知らないとか…わざとですか?」
三人がリリアナを鼻で笑うと…
「す、すみません…こういうお店は初めてで…」
リリアナが顔を赤らめ恥ずかしそうにすると…
「あざとい…」
ボソッと誰が呟くと…
リリアナがどうしていいのかと戸惑ってしまった…
「リリアナ?どうしたの?」
ファイがリリアナの顔が曇った事に気がつくと…
「ううん…なんでもないよ!私この砂糖水のにするね!」
「…リリアナ…砂糖水ってなに?ジュースの方がいいんじゃないの?」
ファイがカラフルな二層に分かれた見本のジュースを指さすと…
「えっ…これが砂糖水じゃないの?」
「これは二つのジュースを合わせたやつみたいだよ?オレンジとリンゴとかパインとキウイだね」
「そ、そうなんだ…じゃ私…リンゴがいいな…」
「じゃリンゴとブドウなんてどう?」
ファイが笑ってブドウを指すと…
「うん…」
リリアナが笑ってお願いと頼んだ…。