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「はぁ…」
ルーダはため息をつきながらハク様の部屋へと歩いていた…。
「本当なら今頃みんなで集まる頃なのになぁ…」
はぁ…
今日27回目のため息をつく…
ハク様の部屋の近くに来ると、廊下に何か置いてあった。
(銅像?)
ルーダが近づくと…
「ムーマ!」
「あっ…ル、ルーダッ、さ、寒いッ、た、助けッ、てッ…」
そこには氷漬けにされ…顔だけ出してるムーマの姿があった…
「お前…馬鹿だなぁ…なんでリリアナに手なんか出したんだよ!」
「ま、まだ!だ、出してッ、ないッ」
「まだ…って事は出そうとしたんだろ?リリアナはお前が相手にするような子とは違うぞ…」
「…」
「まぁいいや…俺ハク様に挨拶したらお前を第二島に連れていくから…」
「や、やだぁ…あそこだけは…」
「知らねぇよ!自業自得だろ、行って反省してこいまぁ…一瞬たりとも油断出来ないだろうけどな…」
ルーダの言葉に寒い体がさらに震える…
なんか言ってるムーマを無視してハク様の部屋をノックすると…
「失礼します」
「あっ…本当にルーダが来ましたね…」
「えっ?どういう事ですか?俺ファイからハク様が俺にムーマを運ぶように言われたんですけど…」
「いえ…なんでもありませんよ…では外のゴミを第二島に運んで下さい。期限はそうですね…二週間もあれば反省するでしょう…もう二度と馬鹿な事をしないように…」
「そ、そうですね…」
「第二島のディーノさんにはもう伝えてありますので…好きにしていいと…」
ハク様が珍しく笑うと…
「で、では…行ってきます…」
「よろしく…」
ハク様はすぐに机の書類に視線を戻していた。
ルーダは氷漬けのムーマを掴むと…
「冷てぇなぁ…」
「俺はもっと冷たい!ルーダ!逃げないから氷を溶かしてくれ!」
「駄目だね…お前は逃げる」
「い、いや逃げないよ…」
「絶対逃げるね!俺なら逃げるもん」
ルーダはムーマの言葉を流して氷を掴むと…
「第一にこれ…ファイの氷だろ?俺じゃ溶かせないよ」
「せ、せめて第二島に着く前に壊してくれ…」
ムーマが顔だけ出てる部分で頭を下げようとするが…ピクリとも動かない…
「壊すって…落とすしか無いけどいいのか?」
「…いい…氷漬けで差し出されるより…マシだ…」
ムーマが覚悟を決めると
「わかった…」
そのくらいはしてやってもいいかな…
ルーダは第二島目指して飛び立った…