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まだ帰りたくない…


その言葉に一瞬我を忘れそうになる…


いや…リリアナの事だ…そう言う意味じゃない…


ブラッドは顔を背けたリリアナを宥めるように優しく語りかける…


「リリアナ…いい子だから帰ろう…明日も仕事で早いんだろ?」


「…明日は…食堂のみんなでお出かけするの…お仕事はおやすみ…」


「なっ…そうなのか…」


チッ…あいつらめ…そういえばリリアナと魔族の国で出かけた事がなかったなぁ…


今になり後悔すると…


「ブラッドとも行きたかったなぁ…」


リリアナがボソッと呟くと…


「…なら…少し寄り道しながら帰らないか?リリアナを特別な場所に連れてってあげよう」


リリアナは顔を上げると、優しく微笑んでいるブラッドがいた…


降りて歩くと言うリリアナを酔っているからと離そうとしないブラッドに負け、大人しく抱っこされていると…


何も無い草原に着いた…


ブラッドがリリアナをそっと降ろすと…


「ここは?」


リリアナが周りを見るが何もない。


「ここは城の裏手の草原だ、何もないが…」


ブラッドが空を見上げると…雲にかかっていた月が現れ出した。


すると…月の光に照らされて草原に白い花が咲き乱れる。


「わぁ!」


リリアナが綺麗な光景に顔を綻ばせると…


「凄い!ブラッド!綺麗ね!」


リリアナは花を避けるように掛け出すと…なれない服に足を取られた…


「わっ!」


草の上に豪快に転ぶと…


「リリアナ!」


ブラッドが慌てて駆けつけると…


クックッ…


体を丸めて震えている


「リリアナ!どこか怪我したのか!?」


ブラッドがリリアナを起こそうと手を伸ばすと…


「あははは!」


堪えきれずにリリアナが笑いだした!


「あっ!ブラッド!みて!月が凄い綺麗で大きいよ!」


リリアナがブラッド越しに空の上の月の美しさに目を奪われる…


ブラッドがリリアナが指さす方をみて空を見上げると…


「えい!」


リリアナがブラッドの手を引っ張った!


「お、おい!」


下のリリアナを踏まない様にとバランスを崩してしまい…リリアナの上に覆い被さるように転んでしまうと…


リリアナの顔が目の前に来る…後数センチ…という位置で固まると…


「ブラッド…」


リリアナの息が顔にかかる…


「大丈夫だったか…」


動く事が出来ずにいると…リリアナの顔がみるみる赤く染っていく…


その姿…その顔に…思わず悪戯心が出てしまう。


「どうした?まだ酔ってるのか…」


赤く染まる頬をそっと撫でると…


「だ、大丈夫!」


目を逸らし、顔を背けようとするリリアナの顎にそっと触れこっちを向かせると…


「ちゃんと顔を見せて…」


「だ、だってブラッドが凄い見るから…」


「見るから?」


「…恥ずかしい…」


そっと目を伏せられるその仕草に…野生の本能が湧き上がる…


食べたい…


リリアナに顔を近づけて行くと…


「ブ、ブラッド?」


近い顔がさらに近づき…リリアナは思わず目を閉じると…


ブラッドはグッと歯を噛み締めて…


リリアナの口の端にキスを落とす…


「リリアナ…男にそんな顔をしたら駄目だ…こうやって食われちまうぞ…」


言葉を発することで自分の気持ちを落ち着かせようとするが…リリアナから返事がない…


リリアナを見ると…顔を真っ赤に染めて…気を失っていた…


「しまった…」


ブラッドは額に手を当てると…これがバレたら…ファイに気が付かれなこと願いながら…リリアナをそっと抱き上げた…。

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