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ムーマとファイからの報告を聞きながらハクが顔を顰める。
「それで…とりあえずリリアナに怪我等はないのですね?」
「そ、それはもう!女の子に怪我なんてさせませんから!」
ムーマが必死に頷くと…
「しかし…まだ子供を連れ回すなど…何を考えている」
「いや…酒を飲めない歳だなんて知らなくて…だって…リリアナちゃん…魔族なんですよね?」
「どういう意味だ?」
ハクが冷たい声で聞くと
「い、いえ…ただ酔った時に…人間の女の子のような甘い匂いがして…つい…」
「つい?」
ファイがイラッとすると…
「お前だってあの匂い嗅いだらそうなるよ!すっげぇ美味そうなんだ…」
(知ってるよ…)
ファイがムーマを後ろから蹴りつけると
「お前、反省してるの?」
「してる!してるよ!」
ハク様をみて頭を下げると…
「ハク様とブラッド様のお気に入りの子とは知らずにすみませんでした!もう二度とリリアナちゃんに近づきませんから!」
「別に…お気に入りではありません…ただ、私の仕事ですから…仕方なくです」
(素直じゃないなぁ…)
ファイが呆れると…
「じゃ…別にこれからまた会っても?」
ムーマがハク様の言葉に顔を明るくすると…
ガン!
ハクとファイがムーマを足で踏みつけると
「お前…やっぱり反省してないなぁ…」
「このおバカさんはおしおきが必要ですね…」
二人が冷たく見つめると…
「ヒィィ…」
「そうですね…彼には…ディーノさんの所に行ってもらいましょうか?」
「あっ!それいいですね!」
ハク様の提案にファイが喜ぶ
「そ、それだけは!」
ムーマが顔を真っ青に染めると…
「お前は一度そういう目にあった方がいいだろ…」
ファイが冷たく睨みつける
「い、嫌だ!あの島にだけは行きたくない!」
ムーマが暴れるがハクとファイの足はビクともしない…
「インキュバスのあなたにはいい罰になるでしょう…」
「ふふふ…そうだね~」
ファイが楽しそうに笑うと…
「では…ファイ。ムーマを第二島に連れて行って下さい」
「えー!僕ですか?」
ファイが嫌な顔をすると…
「あっ…ちょうどいいや…ルーダに頼んでもいいですか?」
「別に誰でも構いませんが?」
ハクが何故ルーダと首を傾げると…
「あいつも反省はしたようですけど…罰は与えないとね…」
ファイはムーマを逃がさないように氷漬けにすると…ルーダを呼び出しに向かった…。




