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「ムーマ…どういう事?」
ファイが低い声で話しかける…
「い、いや…ちょっと出かけただけだよ!」
向かってくるファイに静止するよに手を出すと…
バチン!
「ギャ!」
ムーマの手が凍りつく…
「その汚い手でリリアナに何をしたの…」
「な、何にもしてねーよ!しようとしたらブラッド様が来たんだ…」
ブラッドを見ると
「部屋に行ったら、リリアナが居ないのに気がついて…急いで探しに来たんだ…」
ファイがびっくりした顔をすると…
「待って…ブラッドなんでそんな時間にリリアナの部屋に行ったの?」
ファイの矛先がブラッドに向く…
「ブラッド様はいつも夜中にリリアナの様子見に来るよ」
「寝顔を眺めてからおやすみの挨拶をしてますね」
ナッツとリードがいつものブラッドの様子をバラす…
「ブラッド…」
ファイが信じられないとブラッドを睨みつける…
「い、いや…別に何もしてないぞ…ただ様子を見に行ってるだけで…」
「頭を撫でてますね」
「たまに頭にキスしてる」
「ブラッド!ずるい!そんな夜中に女の子の部屋に行くなんて!リリアナにばらしてやる!」
「すまん…どうしても気になって…だがそのおかげでこうしてバカの行動がわかったんじゃないか…」
「…次は僕が行くからね…」
「し、しかし…」
「行くからね!」
ファイが足をダンッ!と鳴らすと…
「わかった…」
「全く…油断も隙もありゃしないんだから…」
「じゃ、じゃあ…お互い様って事で…」
ムーマが頭を下げながら帰ろうとすると…
「それとこれとは別だから…お前は僕とハク様の所に行くよ!」
「な、なんでハク様が?」
ムーマの顔色がさらに悪くなると…
「今、リリアナの監視と世話をしてるのがハク様だからだよ、最近はリリアナの事も認めて下さってるから…どんなおしおきかなぁ~」
ファイがニヤッと笑うと…
「おい!あいつがリリアナを認めただと!」
今度はブラッドが驚いている…
「そうだよ、今度一緒に料理するとか言ってたよ」
「リリアナ…何をしたんだ…あの堅物を…」
「ふふ…リリアナって凄いよねぇ~」
気持ちよさそうに寝ているリリアナをブラッドは複雑な気持ちで見つめていた…
「じゃ僕達はこのバカを連れてくから、ブラッドはリリアナを部屋に連れてってあげてよ…あっ!手なんか出したりしたら許さないからね!」
ファイに言われ
「当たり前だろ…」
ブラッドはリリアナを大事に抱え直した。