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リリアナから放たれる芳醇な香りにムーマの目がリリアナの首筋にいく…


(この匂いを思いっきり嗅ぎたい…)


今にもしゃぶりつきたい衝動に駆られると…


「おい…ムーマ」


店主が寝てしまったリリアナを怪訝そうな顔で見ると


「早いとこ返してやれよ…寝ちまったんだろ?」


「あ、ああ…」


ムーマはリリアナをだき抱えると…金を払い店を後にした…


寝ているリリアナを襲いたい衝動を抑え家に向かうと…


「なんで…リリアナちゃんからこんな匂いがするんだろ…まるで人間の女の子みたいだ…」


ムーマが舌舐めずりをすると…


「う、うーん…」


リリアナが頭を動かし…ムーマにもたれ掛かった…リリアナが近づき髪がムーマの頬に触れると匂いが強くなる…


「ちょっとだけ…ちょっとだけ…味見を…なんで魔族のリリアナちゃんからこんないい匂いがするのか確かめないと…」


誰への言い訳か…独り言を言うと…


ゴクッ…


「いただきます」


リリアナの唇目掛けて自分の唇を合わせると…


「ブラッド…」


直前でリリアナから言葉が漏れる…


「ブラッド…?」


ムーマが突然出てきたブラッドの、名を口にすると…


「貴様…リリアナに何をした!」


周りが暗闇に包まれると…怒りの様子のブラッドが現れた。


「ブラッド…様…なぜここに?」


「リリアナの様子を見に行って見れば部屋はものけのから…気配を探していたら…名を呼ばれた…」


思わず獣の姿に変わると…牙を剥き出し今にも襲いかかろうとする…


「なぜ貴様がリリアナを抱いている…リリアナはなぜ気を失ってるんだ…」


「あっ…いや…今日、リリアナちゃんとデートに行く約束してて…」


「デートだと!こんな時間にか!」


「だ、だって…デートといえば夜ですよね…」


「リリアナは承諾したのか?」


「いや…女の子の嫌よ嫌よは好きのうち…だから…」


「嫌と言ったんだな?」


ブラッドが詰め寄ると


「い、いや…嫌とは…言われて無いかな…」


ムーマが首を傾げ記憶を呼び起こそうとする…


「それで…なんで気を失ってる…」


「こ、これは寝てるだけです!酒飲んだら寝ちゃって!だから送り届けようと…」


「お前は寝ている女に手を出すのか?」


「そ、それは…リリアナちゃんからに、匂いが…」


「匂い?」


「甘い匂いがするんです…人の子みたいな…」


ブラッドは人型に戻るとムーマからリリアナを取り上げる…


すると…


コテン…


リリアナはブラッドの胸に頭を預けた。


その瞬間フワッと確かに甘い匂いが鼻に広がる。


「じゃ…俺はこの辺で…」


ムーマが固まっているブラッドから逃げるように後ずさると…


「ファイ…リード、ナッツ…」


ブラッドが三人を呼ぶ…


「はぁ~…何?ブラッド…?」


「「はい!」」


ファイが眠そうに…リードとナッツがチョンと闇から現れると…


「えっ?リリアナ?何その格好…なんでこんな時間にここに?」


ファイの眠気が一気に冷めると…


「あいつが連れ出したんだ…」


ブラッドが睨みつける先には顔を真っ青に染めたムーマが立っていた…

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