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「いらっしゃいませ」
そこは薄暗いお店で中では数人の客が酒を飲んでいた…
「リリアナちゃんは何飲む?もうお酒は飲めるんでしょ」
「えっ…いえ私…お酒は…」
飲めないと断ろうとすると
「リリアナちゃんていくつなの?」
「じゅ…」
15才と言おうとして止まる…魔族にとって15才は幼いかもしれない…
「ムーマさんは…お幾つなんですか?」
「おれ?俺は120くらいかな?もうちゃんと数えてないからね」
「120…すごいですね」
「そうかな?まぁ…魔族では上の方かもね」
魔族では上…ブラッドはいくつなんだろ…
思わずブラッドの顔が浮かぶと…
「どうしたの?頬を赤らめて…俺に惚れちゃった?」
ムーマが色っぽくウインクすると…
「い、いえ…ちょ、ちょっと失礼します…」
リリアナは火照った頬を冷ますためトイレに走った…
「おやじぃ~俺にいつものと…甘ーいやつを!」
「はい…」
ムーマは運ばれた酒をグイッと飲み干すと…
「もう一杯!」
リリアナが戻って来るまで三杯飲み干した…
「リリアナちゃんといると…なんでかなぁ…喉が乾くんだよねぇ~」
そう呟くと…リリアナが座っていた場所をジーっと見つめる。
すると…リリアナが戻ってきた
「はい!リリアナちゃんの為に頼んでおいたよ」
ムーマが甘くて可愛いオレンジ色の飲み物を差し出すと…
「これって…」
リリアナが警戒すると…
「ジュースみたいなもんだよ!大丈夫、大丈夫」
お酒じゃないなら…
そう思い、一口舐めるように飲むと…
「甘い…」
「美味しいでしょ?女の子に人気の飲み物だよ」
「はい…美味しいです…でもこれ飲んだら…本当にもう帰らないと…」
「えー!残念…」
ムーマがガッカリと項垂れると…リリアナはほっとしてジュースを飲み出した…
半分ほど減ると…
(あれ…なんか…ホワホワする…)
体がポッポっと火照りなんだか眠くなる…
「ムーマしゃん…なん…だか…わたし…」
リリアナの頭がフラフラと揺れ出すと…
「リリアナちゃん?どうしたの?」
ムーマが驚いてリリアナを見ていると…今にも床に倒れそうになる…
「危ない!」
倒れるすんででリリアナを抱きとめると…甘い匂いがムーマを刺激する…
「この匂い…リリアナちゃん?」
リリアナは顔を赤く染め…気持ちよさそうに眠ってしまっていた…