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「すみません…」
リリアナは扉を開けてお姉さんを呼ぶと…
「はーい、どうでしたか?…てあれ?着替えてないの?」
「す、すみません…これ…胸元が…」
お姉さんの様にすっぱりと開いた服を見せると…
「あら、あなたも多少はあるでしょ?大丈夫よ」
(そう言う意味じゃなくて…)
「こんなの…恥ずかしくて…」
「あらそう?似合うと思うけど…なら…これはどうかしら」
そう言って違う服を出すと…
み、短い…
足がほぼ見える短いスカートを渡される…
「あ、足が…」
「何よ、綺麗な足してるから大丈夫でしょ?」
お姉さんが眉を寄せ、他の服を見ると…
「なら…これならどう?この中では一番地味よ」
そう言って渡された服は…胸元が開いてはいるが紐で交差されていて、スカートも長いが横にバッサリとスリットが入っていた…。
(さっきのよりは…)
リリアナは着替えて見るが…
(無理…恥ずかしいよ…)
「どうですか?」
お姉さんが扉をノックすると…
「無、無理です!やっぱり元の服に着替えます!」
「えー?」
お姉さんが扉を開けると…
「あら!可愛いじゃない!ムーマサーん!」
ムーマを呼ぶと
「わぁ!リリアナちゃん似合ってる~!でもこっちの方がいいと思うよ!」
一番最初に見た服を持ってくると…
「無理です、これだって…元の服に着替えますから…」
そう言って服を探すが…
「あれ?ない…」
「あー…あの野暮ったいのは処分しといたわ、あれはない!」
お姉さんが首を振ると…
「おまけしてあげるからそれ着て帰りな」
「いいね!じゃコレで~」
ムーマがサッサと会計を済ますと…
「ムーマさん!後でお金返しますから」
リリアナが慌ててムーマに言うと
「だから俺からのプレゼント!リリアナちゃんはもらっとけばいいんだよ!」
「でも…」
「それにお礼ならほっぺにキスでもいいよ」
ムーマがウインクをして自分の頬を突き出すと…
「い、いえ…お金は明日…返しますね…」
「なんだーつまんないなぁ」
ムーマは店を出るとまたリリアナを引っ張って夜の町を歩き出す…
リリアナは周りを見る暇もなくムーマに連れて行かれる…
「じゃちょっと休もうか~」
そうして薄暗いお店に入って行った…




