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「リリアナ~行ける?」
お昼休憩の五分前にファイがリリアナを迎えにやってきた…。
「おう、リリアナ行ってこい、夕食の手伝いはいいからハク様のお世話をしっかりな!」
シュカがドンッとリリアナの背中を押すと…
「ちょっと!シュカ!リリアナはか弱いんだからそんな力で叩かないでよ!」
「ハハ!悪いなリリアナ、まぁ頑張ってこい!」
「はい!ハク様の好きな物突き止めて見せます!」
リリアナがグッと拳を握る。
「なんか…目的変わってない?」
シシオが首を傾げた。
ファイとナッツ、リードとハク様の部屋に向かうと…ファイが扉をノックする。
返事がないままファイが部屋に入ると…
「うわぁ…」
あまりの惨状にリリアナが唖然とする…
「きったなぁ…」
「仲間が喜びそうですね…」
ナッツとリードも呆れていると…
「いつもはもっと綺麗なんだけど…今は忙しくて…」
ファイがフォローすると…
「とりあえず…部屋を綺麗にしよう!こんな所で仕事してたら余計捗らないよ」
そう言って腕まくりをするとリリアナは床に落ちた本を拾いだした。
「ふぅ…こんなもんかな?」
見違えるほど綺麗になった部屋をリリアナが見渡すと…
「さすがリリアナ!」
「掃除が上手です」
「みんなが手伝ってくれたから早く終わったよ!」
すると…ちょうどハクが部屋へと戻ってきた…。
「こ、れは…」
ハクは入り部屋を見渡す…
「ファイ…勝手な事を…」
ハクが睨むと…
「ハク様にいくら言っても片付けないからですよ!それに僕は許可貰いましたよ!好きにしろって!」
「全く…」
ハクが部屋に入ると…リードとナッツは急いで部屋を出て部屋の外の扉で待機していた。
「で?その娘は?」
ハクがリリアナを見ると…
「リリアナが部屋を掃除してくれたんですよ」
ファイが胸を張って答えると
「全く…余計な仕事をして…これじゃ資料が何処に行ったか…」
そう言って本棚を見ると…綺麗に資料分けされて整頓されていた…。
綺麗になった机に座ると…
「今…お茶を入れて来ますね」
リリアナはファイに声をかけて食堂へと戻って行った…。
しばらくして戻って来ると…
「失礼します、ハク様お茶とおにぎりを持ってきました。手で持って食べれるのでお仕事の合間に食べて下さい」
そう言ってお盆に乗ったおにぎりを机に置くと…
「気が向いたらな…」
そう言って、帰れと皆を外に出した。
ファイが食堂まで送りながら
「なんでおにぎり?」
ファイがリリアナに聞くと
「なんか…和物の資料が多かったから…好きなのかなぁ…って」
「へー!」
「あっ…知らないよ、でもハク様の部屋の外に梅の木があったから…中身は梅干しにしてみた」
「ふふ…なんか似合わないや…」
ファイが可笑しそうに笑う。
リリアナを食堂に届けると、ファイはハク様の部屋へと戻って行った。