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「どうぞ」
リリアナが笑って席を見ると、リードとナッツが警戒する。
「はは、チビ共そんな睨むなよ。ただ飯を食いにきただけどぞ」
食事を持って席に座ると、続けて他の魔族達もリリアナの席の側に座り出した…。
その男をきっかけにリリアナの周りの席が埋まると…
「君が今噂のリリアナちゃん?」
前の男がリリアナに笑いかける。
「はい、食堂で働かせてもらってます。リリアナです、よろしくお願いします」
「うん。噂通り可愛いね~俺はインキュバスのムーマってのよろしくね~」
そう言うとムーマはリリアナの手を取り指先に軽くキスをする…
「離せ!」
ナッツが直ぐに手を払い除けると
「お前…まだ生まれたばっかりだろ…年上に対する態度がなってないなぁ~」
そう言うとナッツの頭をグリグリと撫でる。
「グッ…」
ナッツが押さえつられ、ムーマを睨みつけると…
「俺はただあ前のお姫様と喋りたいだけ!取って食いやしないから安心しろよ…俺がいただくのは人間の女だけだから」
そう言って色っぽいウインクする。
「で?リリアナちゃんはその角からするとなんの魔族なの?」
「えっ?」
思わぬ質問にリリアナが固まると…
皆がリリアナの答えに注目する。
「なんの…?えっ…と…」
自分の角を触ると…
「ヤ、ヤギ…?」
「山羊?へーバフォメット様の娘とかなのかな?」
「バ、バフォメ…?」
「あっ違うんだ~!リリアナちゃんも生まれたばっかりなのかな?」
次々に質問され困っていると…
「リリアナは僕らと一緒で生まれたばっかりです。ブラッド様の臣下ですから」
リードが代わりに答えると、リリアナがあからさまにホッとする…
「リリアナほらもう仕事に行かないとじゃない?」
「そうだ!行くよリリアナ」
リードとナッツが席を立ちリリアナを厨房に連れて行こうとすると…
「リリアナちゃん!」
ムーマが声をかける、リリアナが振り返ると…
「またね~」
ヒラヒラと手を振る…リリアナはペコッと頭を下げるとリード達に引っ張られて行ってしまった。
「なーんか、気になるんだよねぇ~」
ムーマはリリアナの後ろ姿を獲物を見るように見つめていた。




