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「ゴホンッ!」
ドアから誰かの咳払いが聞こえると…
「あっ!ファイ様おはようございます!」
「おはようございます」
ナッツとリードがリリアナと抱き合ったままファイに挨拶をすると…
「…おはよう…二人とも…朝の抱擁はそのくらいでいいんじゃない?」
ファイが不機嫌そうに声をかけると…
「いや!久しぶりの再会ですから!」
「ねーリリアナ?」
「ふふふ…そうね、でもファイが来たからお話はまた今度ね」
そう言ってリリアナは立ち上がると…
「ファイおはよう」
「…」
ファイがぷいっと横を向く…
「ファイ?」
リリアナがファイの様子を伺うと…
「僕だって…リリアナとちゃんと挨拶したかった…」
なんだか拗ねた様子のファイが可愛らしく…
「ファイ…おはよ!」
リリアナが
ガッバ!とファイに抱きついた…
「ふふふ…ファイ拗ねてるの?」
リリアナがファイのほっぺをツンツンと突くと…
「ち、違うよ!ただ…ナッツ達がリリアナと楽しそうにしてたから…いいなぁ…って」
「うん!楽しい!こんなに楽しいの久しぶりだよ、これもブラッドやファイ達のおかげだね!ありがとう」
リリアナがファイに笑顔でお礼を言うと…
「もう…」
ファイがへにゃと力なく笑う…
「リリアナが楽しいならいいんだ…」
つい懐かしく四人で楽しく話をしていると…
「あっ!大変!仕事行かないと!」
「えー?リリアナとまだお話してたいなぁ…」
ファイがぷぅっと膨れると…
「ちゃんと働いてブラッドにお金を返さないとね」
膨らんだファイのほっぺを突くと…
「別に返さなくったて構わないのに…」
「そんなわけにはいかないよ…それに…あそこでご飯作るのとっても楽しいの!」
「わかった…じゃ行こっか?」
ファイが手を差し出すと…
「うん!」
リリアナがギュッと握りしめると反対の手をナッツが握る…。
「狡い…です」
リードが恨めしそうに二人を見ると…
「じゃリードが真ん中!私は大丈夫よ」
リリアナはファイとナッツの間にリードを入れてあげると…
「行こう!」
扉を開けて外に出ていった…。
「「「違うのに…」」」
三人ともため息をつくと手をそっと離してリリアナを追いかけた…。