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シュカは倒れ込み震えている魔族達を睨みつけると…
「おめぇら何やってるんだ!」
「「「ヒ、ヒィ…」」」
シュカの怒鳴り声に寒くてなのか恐ろしくてなのかさらに震えると…
「い、いや…た、楽しみ、で、さ、寒い…」
知るか!とシュカが追い出そうとすると…
「大変!みんな凍えて…シュカさん温かいシチューを早く出してあげましょう!」
リリアナが頼むと…
「だが…こいつらあと少しでお前に怪我をさせる所だったんだぞ…」
「そうですけど…こうなったのも…私が迂闊に開けたせいだし…」
リリアナの悲しそうな顔に…
「ああ!わかった!しょうが無い!お前達リリアナに免じて今日は許してやる!だか!次またこんな事してみろ!1週間飯抜きにするからな!」
「「「へ…い…」」」
魔族達は力なく返事を返した…
手分けして魔族達を椅子に座らせると…みんなで大急ぎでシチューを運ぶ…
目の前に出された魔族達は次々にシチューを口にすると…
「あったかい…」
「心から温まる…」
「………」
「生き返った…」
皆各々温かいシチューをじっくりと味わっていた…。
「まだ寒い人はいますか?」
リリアナが声をかけると…
「おー…まだ少し寒くて…」
一人の魔族が手を上げた、リリアナはその魔族の側に行くとフワッと毛布を肩から掛けてあげる…そして…
「どうでしょう?寒くありませんか?」
顔を覗き込むと…
「…ああ…大丈夫…だ…」
魔族が返事を返すと…
「よかった…」
ニッコリと笑って離れて行くと…
「他に寒い方は…」
「「「「はい!」」」」
五、六人が一斉に手を上げた…。
「た、大変!まだあんなに!ルーダさん手伝って貰えますか?」
「「げっ…ルーダ…?」」
「何だよー面倒くさえなぁ…リリアナ!そんなヤツらほっとけよ」
「駄目ですよ!風邪でも引いちゃったらどうするですか!」
リリアナはルーダに毛布を半分渡すと…手分けして毛布を配りにいった…。
リリアナに毛布を渡された魔族達は皆笑顔で受け取っている…その様子をルーダから毛布を投げ渡された魔族達は羨ましそうに見ていた…。