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リリアナが扉の取手に手をかけると…今か今かと開くのを待っていた魔族達がなだれ込んできた…
リリアナは突然の事に唖然として足が固まってしまう…
先頭にいた魔族もリリアナに気がつくが…後ろから押されて止まることが出来なかった…
「キャッ!」
ぶつかる!そう思い目を閉じるが…なんの衝撃もなかった…
恐る恐る目を開くと…目の前にいた魔族達が全員凍り付いていた…。
「えっ…」
リリアナはペタンと床に座り込むと…
「全く…手間をかけさせないでいただきたい…」
冷たい声が上から降ってきた…。
リリアナは上を見上げると、そこには手を魔族達に向けているハク様がいた…。
「ハ、ハク様…」
「早く退きなさい…」
ハクがリリアナを睨むと…
「こ、腰が抜けて…立てなくて…」
ガクガクと笑う膝を押さえてヘラっと笑うと…
「ふん…」
ハクがリリアナを片手でひょいと抱き上げた、そして移動すると凍りついた魔族達を解除する…
「「「「うわぁぁぁ!!」」」」
押し寄せていた魔族達が絡み合い前から倒れていった…あの場所にいたら…
リリアナは今になりゾッとして思わずハク様の服をギュッと掴んだ…。
「もういいでしょう…」
ハクが冷たく言い放つと…
「はっ!す、すみません…」
リリアナは掴んでいた手を離すと…ハクがポイっとリリアナを下ろした…
「いた!」
まだ足に力が入らないリリアナは着地に失敗して尻もちをついてしまう…。
「なんと…鈍臭い…」
ハクは呆れながらリリアナを立たせると…
「全く…騒ぎがあるといつもあなたがいますね…」
ジロっとリリアナを睨みつけると…
「すみません…でした…」
リリアナはしゅんとして謝ると…
「リリアナ!大丈夫か?」
大きな物音に気がついたシュカ達が厨房から駆け出してきた…。
「みんな…」
「シュカ!あなたともあろう者がなんですかこの騒ぎは!」
「何かありまして?」
倒れ込む魔族達を見ると、リリアナがハク様助けられた事を言うと…
「ルーダ!」
シュカがルーダを叩こうとする。
「シュカさん!違うんです!私が自分で行きますって言ったんです…あんなみんなが押し寄せるなんて思わなくて…すみませんでした」
「いや…いつもならあんなになだれ込むことなんてない…こっちも考えなしだったな…怖い思いさせてすまなかったな」
シュカはリリアナの頭を撫でると…
「無事でよかった…ハク様ありがとうございました」
「…いえ…その者の世話をルシファー様に頼まれているから仕方なくです!次は大人しくしていて下さい!」
「はい…すみませんでした…」
リリアナが再度謝ると…ハクは魔族達を踏みつけながら出ていこうとすると…
「ハ、ハク様!」
リリアナが呼び止める
ハクが不機嫌そうに振り返ると…
「助けていただきありがとうございました!良かったら…夕食食べて行ってください!」
「結構です…」
ハクはもう振り返る事無く去っていった…。