49ルーダ
今日は何だか朝からついてない…
先ずは寝坊して赤鬼の旦那に拳骨を一発くらう…。
朝食の準備をいつも通りガルムとシシオとすませると人のいなくなった食堂で自分達も飯を食う…。
いつもの赤辛いスープに肉を唐辛子で炒めた料理だ…。
そんな飯を食っていると…食堂には滅多に来ない人が来た…ルシファー様の右腕のブラッド様だった…。
何事かと見ると後ろに何か動く物が顔を出した。
人間だ!
魔族の国に来る人間など限られる、しかもブラッド様が連れてきたとなれば…
「ブラッド様!その人間はなんですか?」
「あっ!もしかして食堂のメニュー?」
「確かに…美味そうだな!」
ガルムやシシオが聞くと…俺も思わずヨダレが垂れた…。
やたら美味そうな人間だったからだ…
しかし…その瞬間意識が飛んだ…気がつくと朝になっていた。
またいつの様に食堂に行くと…赤鬼旦那が昨日の美味そうな人間を紹介する…
人間の癖に正体を隠しながらここで働くと言う…
なんだ…食材じゃないのかとガックリとすると…
「お前は昨日ので懲りてないのか!こいつに手を出したら…俺達がブラッド様に殺されるぞ!」
ガルムが顔を青くしながら怒り出す…
昨日?気を失ったからよく覚えて無いなぁ…
ガルムの言葉に美味そうな奴は…
「えっ?ブラッドはそんな酷い事しませんよ、でも…食べられちゃうのは困るなぁ…ブラッド達に借りたお金を返して無いから…」
なるぼと!金を回収する為に食べたら駄目なのか!
なら…金を回収すれば…
俺はヨダレを我慢しながら美味そうなこいつと働く事になった…
最初はガルムと掃除をするみたいだ…その間に自分の準備を始める…
シシオと野菜の皮むきを終えると俺の所にくる…ここでは野菜を切って炒める作業だ…
近づくとさらに美味そうな匂いが強くなる…思わず手を掴んでペロッと味見すると甘い味がした!
「美味!」
思わず声が出る!やっぱり若い人間は美味しそうだ…美味いとは聞いていたが…まだ食べた事は無かった…しかしこの味は癖になりそうだ…
軽い力で手を引っ張ろうとしているがなんて事はない非力な奴だ…
とりあえず手を離し朝食作りを始める…
しかし気になりついつい側によると…
リズムよく野菜を切っていた、中々の腕前に思わず褒めると…気配に驚き人間が指を切った…
すると赤い血がじわっ…と広がる…芳醇な香りに思わず目がクギ付けになる…思わずその手を掴むと口に入れ味わった…
美味い…甘い蜜のような味だ…
しかし…至福の時間は長くは続かなかった…




