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「はぁ…今日もあの真っ赤な飯か…」


朝の食堂に集まる魔族達が憂鬱そうに歩いていると…


「今日は最高だったな!」


「夜が楽しみだせ!」


食堂から帰ってくる魔族達の表情がいつもと違い何故か明るい…


不思議に思いながら、食堂の扉を開くと…いつもとは違う香りが広がっていた…。


食堂のカウンターにはいつもはない長蛇の列が並んでいる…


近くにいた奴に何事かと話しかけると…


「今日の飯は最高だぞ!赤いスープと赤いパンなんだが…」


「それじゃあ、いつもと同じじゃねぇか!」


もう赤くないものが食べたい!


「赤いけど美味いんだよ!お代わりが出来ないのが残念なくらいだ…」


何が違うんだ?


そう思いながら長蛇の列の一番最後に並ぶ…いくら赤くても…何も食べないよりはマシだからな…


しかし…順番が近づくにつれていやにいい香りに腹の虫が反応する…。


「なんか…いつもの刺激臭じゃないなぁ…」


クンクンと鼻を動かしていると順番がきた。


「おはようございます、今日はフレンチトーストとスープですフレンチトーストにははちみつかジャムが選べます、どうしますか?」


初めてみる魔族の女の子がにこやかに挨拶して食事の説明を始める…呆気に取られて固まっていると…


「どうしました?おかげん悪いんですか?」


心配そうに覗き込んできた…


「いい…」


「えっ?」


思わず出た本音に女の子がよく聞こえなかったのか耳を出した…。


「あっ…すまん。大丈夫だ!えーとフレンチトースト?ってのは初めてだな?どんな食べ物なんだ?」


食べ物に興味を持たれたのが嬉しかったのか、女の子はにこやかに答える。


「フレンチトーストは甘いパンになりますよ!卵と牛乳で浸してバターで焼いてるんです。上からシロップをかけると…本当に美味しいんです!」


女の子は自分の頬をおさえて美味しさを表現する…。


「やっぱり…いい…」


「えっ?あっ…すみませんつい興奮して…それでどうしますか?」


「じゃ君のおすすめで!」


「はい!じゃフレンチトーストに赤いジャムにしておきますね!シシオさんフレンチトーストイチゴジャム一つです!」


女の子が後ろに向かって声をかけるとスープを装いに行ってしまった。


女の子を視線で追いかけると…いつもの鳥男のルーダと目が合った…。


「よう、ルーダ!あの子どうしたんだ?可愛い子だな!」


ルーダはギロっと睨みつけると…


「悪い事は言わない…あの子にリリアナに手を出さない方がいいぞ…」


「はっ?」


何がだ?続きを聞こうとすると…ルーダは奥に行ってしまった…入れ違いにスープを持って女の子が戻ってくると、丁度焼きあがったフレンチトーストを乗せて差し出してくれる。


「熱いうちにどうぞ!」


ニッコリ笑って渡されるご飯に、いつもの赤い色が目に入るが…何だか嬉しい気分だった…。

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