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「よし!じゃお前…えっと…」


「リリアナです」


「リリアナ先ずは厨房の掃除だ、道具はここにあるからな」


猿顔の魔族が用具入れから箒と雑巾バケツを出すとリリアナに渡す。


「えっと…お名前を聞いてもいいですか?」


リリアナが猿顔を見ていると…


「オレはシシオだ、そっちの犬顔がガルム、鳥がルーダだ」


「はい!じゃシシオ先輩先ずは床の掃除からでいいですか?」


「せ、先輩…?」


「え、ええ…違いますか?働く時に上にあたる方は先輩だと聞いた事がありましたけど…」


「いや!いいぞそれで!」


シシオは満更でもない顔をするともう一本箒を取り出し、ご機嫌に床をはき始めた…。


リリアナもシシオとは違う方から箒でゴミを集めるとバケツに水を入れ雑巾を絞ると床の汚い所を水拭きしていく…。


「それが終わったら下準備をするぞ…」


ガルムがリリアナに指示を出すと…


「はい!ガルム先輩!もう少しで床掃除終わりますから!」


「ガルム先輩…?なんで名前を?」


「先程シシオ先輩が教えてくれました」


リリアナはササッと床を磨いて行くと…


「お前…まぁまぁ掃除が出来るな…」


今まで落ちなかった汚れを綺麗に落としてしまったリリアナの様子に動揺すると…


「ありがとうございます!掃除も得意なんです…汚い所があると…よく叩かれてましたから…」


リリアナがゴシゴシと力を込めて汚れを落として行く…


「そ、そんなにやらなくてもいいから!ほら次に行くぞ」


ガルムはリリアナを倉庫に連れて行くと…


「ここが食料を保管して置く倉庫だ、今日は…いや…今日も激辛スープの予定だから…玉ねぎと人参とじゃがいもの皮むきだ…」


「激辛スープ?」


「赤鬼の旦那は激辛料理が得意でな…」


ガルムが顔を曇らせると…


「ガルム先輩は激辛嫌いなんですか?」


「えっ?いや…別に食べられればなんでもいいんだがな…」


ガルムが玉ねぎの箱を取り出すとリリアナに渡す。


リリアナが受け取ると…


「きゃ!」


あまりの重さにびっくりして落としてしまった…


「何してる!」


ガルムが人参とじゃがいもの箱を持ちながらリリアナが落とした玉ねぎの箱を掴むと…


「す、凄い…」


リリアナが目を真ん丸にして驚いている。


「はっ?これくらい普通だろ?」


ガルムがなんでもないと箱を持っていると…


「ガルム先輩凄いです…力持ちなんですね!私そんなに重いもの持てる方初めて見ました!」


リリアナが尊敬の眼差しをおくる…


「そ、そうか?」


ガルムは機嫌よく箱を運び出した…


「あっ先輩!一個持ちますよ!」


「いや…このくらい軽いからな!まぁ持ってやるよ」


ガルムは箱を台に乗せると…


「じゃ野菜の皮むきだ…玉ねぎは…お前が剥け」


ガルムが玉ねぎの箱をリリアナの方に寄せると…包丁を取り出す…。


「あっ!私包丁置いてきてしまいました…」


しまった…としゅんとしていると…


「何やってるんだ!しょうがないな…まぁ今日は俺のを使え…」


ガルムが自分の包丁を1本リリアナに渡すと…


「ありがとうございます…」


ガルムはリリアナの方を見ずに返事を返すと…人参の皮むきに取り掛かった。


リリアナはガルムの包丁を掴むと布で丁寧に拭く…左手に玉ねぎを持つと皮を向き始めた…。


ガルムが大量の人参の皮むきを始め…半分ほど終えるとチラッとリリアナの様子を見る。


「えっ?」


思わず手を止めリリアナを見ると…もうほとんどの玉ねぎの皮むきを終えていた…。


「お、お前…結構速いな…」


「ありがとうございます!玉ねぎが終わったらじゃがいもも剥けばいいですか?」


「あ、ああ…そうしてくれ…」


ガルムは負けじとスピードをあげて人参の皮むきを再開した。

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