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「それでリリアナはこの国で何がしたいんだい?」
「何が…」
「このまま好きなように過ごしていいんだよ」
「いえ!それは駄目です!私はブラッド達からお金を立て替えてもらってますから働いてそれを返さないと!ルシファー様!私が働けるような事はありますか?」
「ブラッド達はそんな事望まないと思うよ?」
「ブラッドもそう言ってくれました…でも…やっぱり返したいです!そしたらブラッド達と対等に向き合えるから…」
「そうですか…」
ルシファー様が愛おしいそうにリリアナを見つめると…横に流れている髪を優しく耳にかけた…
「リリアナは何をしてお金をもらいたいのですか?」
「えっ?何をして?」
今まで自分のしたい事を聞かれた事が無かったリリアナは返答に困ってしまった…。
「私のしたい事…?」
「えぇ…働くにしても好きな事をしてみてはどうですか?」
「好きな事?」
フッとブラッド達が美味しそうにご飯を食べる姿が浮かぶ…
「私…料理を作るのは好きでした…ブラッド達が美味しそうに食べてくれる姿を見るのが…」
「では…しばらくお城の食堂を手伝ってみますか?」
「食堂?あの赤鬼さんの食堂ですか?」
えぇ…ルシファー様が頷くと…
「でも…私がいたら…迷惑じゃ…」
「…そんなに気になるならしばらくは魔族の格好をしてみましょうか?」
パチンと指を鳴らすと、リリアナの髪から角が生える。
「えっ!」
「コレでしばらくは人間だとバレませんよ…知ってるのはブラッド達と食堂の赤鬼達だけですから…」
(それに…こんな事をしなくても直ぐにリリアナなら大丈夫ですが…)
リリアナは生えてきた角をそっと触ると…
「えへへ…なんかみんなとお揃いみたいで嬉しいです」
頬を染めて喜ぶと…ルシファー様の笑顔が輝く。
「やっと前みたいに笑えましたね…」
ルシファー様と顔を見合わせて笑っていると…
「…どうやら場所がバレたようですね…」
ルシファー様がリリアナを抱き上げて立ち上がると…目の前に黒い渦が広がり…ブラッドが現れた。
「ブラッド!」
リリアナが驚いた顔を見せると…
「リリアナ!よかった…」
ほっとした顔をしたかと思えば今度は驚きに表情が固まる…
「リリアナ…その角は…」
リリアナが角を触って嬉しそうに笑う。
「へへっブラッド達とお揃いの魔族みたいでしょ」
「ルシファー様…まさか…」
ブラッドがワナワナとリリアナに手を伸ばす…
「ルシファー様がしばらくは魔族の振りをしていなさいって角を付けてくれたの!似合わないかな?」
「そうか…いや…」
ホッとすると…じぃっとリリアナを見つめる、ブラッドの熱い眼差しにリリアナは恥ずかしくなり目を反らしてしまった。