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「うっ…うう…」


リリアナが声を押し殺してベッドに顔を埋めて泣いていると…


【リリアナ…】


部屋に聞こえるはずのない声が聞こえる…


【リリアナ…】


「…ブラッド…?」


リリアナは涙を拭き取って部屋の中を見回す…するとリリアナの部屋に唯一ある小さな棚の影からブラッドが顔を出す…


「…」


リリアナは驚くことなくブラッドを見つめていると…


【リリアナ…俺がわかるのか?】


「…ブラッドの声を間違えたりしないよ…」


リリアナがそっと笑いかけるとブラッドがホッとする


「でもブラッド…ここに来ちゃ駄目だよ…見つかったらどうするの?」


【大丈夫だ…俺は…闇と同化出来るからな…】


そう言って形をを変えて本来の姿に戻ると…


「そっか…なら大丈夫だね、初めてだね私の部屋に来るのは」


【リリアナ?驚かないのか?】


「驚いたよ…いきなり部屋にいるんだもん」


【違う!俺は…普通の犬じゃないんだぞ!】


「えっ…今更?喋ってる時点でもう普通じゃ無いよね?」


【うっ…】


「それに…その姿も何度か見たよ。ブラッドお昼寝しちゃうとたまにその姿になってるよ…」


【な、なに!?】


「ブラッドもファイもギョクもみんなでお昼寝してる時に姿が変わってたよ…」


【なんで言わなかった?怖くないのか?俺達は…魔族なんだぞ…】


「…魔族なんだ…魔族って聞いてた話と違うね…」


リリアナがブラッドの側によるといつもの様に頭を撫でる…


「とっても優しいんだね」


いつもの様にブラッドをギュッと抱きしめた。


ブラッドはリリアナの髪に鼻先を埋めて香りを嗅ぐ…そこには恐怖も恐れも感じられなかった…


【リリアナ…よかったら魔族の国に来ないか?】


「魔族の国に?」


リリアナが驚いてブラッドを見つめる


【ああ…リリアナがよければ…】


「でも…お義母様達が…」


【あいつらが家族と言うなら俺達はなんだ?俺達がリリアナの家族になるから!】


「ブラッド…ありがとう…すっごく嬉しい…」


【なら!】


「でも…ここが私の家だから…お父様とお母様の思い出が残った…」


【ならこの建物ごと来ればいい!】


「ふふブラッドはそんな事も出来るの?凄いね」


よしよしと撫でると顔を曇らせる


「でも…この家はお義母様の物なんだ…勝手に持っていけないよ」


【…わかった…あいつらが出ていけばいいんだな…】


「ブラッド?」


【リリアナ待ってろよ…この家をお前を解放してやるからな…】


「ブラッド!」


ブラッドが闇に紛れて消えていく…


「ブラッド!いいの!お義母様達を傷付けないで…」


【…お前は…こんな時まで…わかった…傷は付けないと誓おう…】


「ごめんね…私の為に動こうとしてくれて、ありがとう…その気持ちだけで嬉しいよ!」


【リリアナ…また来る…】


「うん!」


(その時は…お前を連れていく…)


ブラッドは闇に消えていった。



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