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リリアナと会っていた日々を思い出し懐かしくも歯痒い思いが湧き上がる…
「ずっと我慢させてきたが…ようやくこれで助けてやれる…」
ブラッドがリリアナの髪を撫でていると、リリアナがもぞっと動き出した…。
「あれ…ブラッド…?」
目をうっすらと開けまだ眠そうに周りを見ると…ガバッと起き上がった!
「大変!寝坊した!ご飯作らないと!」
リリアナが急いで着替えようと服に手をかけようとすると…
「リ、リリアナ!落ち着け!もう料理を作らないといけない相手は居ないだろ?」
後ろからリリアナの手を抑えると…
「あっ…」
昨晩の事を思い出したのか手を止める…
「そうだ…私…あれ?ここって私の家だよね?なんか…外が…」
窓から見える風景がいつもと違う事に気がついてリリアナが窓に近づくと…
そこにはいつも見える景色とは違う物が見えた…。
「何あれ…?」
リリアナが見つめる先には見た事もないお城が建っていた…。
「あれはルシファー様が住まわれている城だ、ここはそのルシファー様が治めている国だ」
「ルシファー様が…じゃあ…魔族の国に来たの?」
リリアナが驚きブラッドを見ると…
「ここならリリアナを助けてやれるな…」
「ブラッド…」
ブラッドの嬉しそうな顔に…いきまり連れてこられた事に文句も言えなくなる…
「もう…」
リリアナか困ったような笑顔を浮かべる。
「それじゃ…私はここで仕事を見つけないと…人間が働ける所ってあるの?」
ブラッドがリリアナの言葉に驚きをみせる
「本当に働く気なのか?」
「当たり前だよ!お金を出してくれたのはルシファー様なんでしょ?ちゃんと返していかないと…」
「別に無理に返さなくたっていいんだぞ…ほら…もしリリアナが嫌で無いなら…俺が面倒をみたって…」
ブラッドが歯切れ悪く語尾を弱めると…
「ブラッド?」
リリアナがよく聞こえないと側による…
「あっ…いや…リリアナの好きにしていいんだけどな!」
ブラッドが慌てた様に顔を背けると…
「ありがとう、でもやっぱりちゃんと返したいなそれに何もしないでいるのもきっと退屈になっちゃうよ」
「…じゃあ…とりあえずルシファー様の所に挨拶に行こう…ついでに城の中を案内しよう」
「ありがとう…所でブラッドってその姿が本来の姿なの?」
人型の状態でいるブラッドに声をかけると
「どっちも俺だが…城にいる時は人型が多いなこの姿の方が色々と便利だしな…」
そう言うと、リリアナの手を取る。
「さぁ…おいで…」
ブラッドはお姫様でも扱うようにリリアナの手を引いていった。