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リリアナがふっと目が覚めると…木の葉の間から優しい光がチラチラと見える…その奥には綺麗な青い空が広がっていた…。


(綺麗…)


思わず見とれて見つめていると…


【なるほど…リリアナは先程の奴にこき使われているんだな…】


横から聞こえる優しい声に先程自分を起こそうと呼びかけていた声がかぶる…。


首を少し動かして横を見ると…ネズミ達と真面目に話をする大きな黒い犬が目に入った…。


そのアンバランスな光景に…


「ぶっ!」


リリアナは吹き出してしまった。


リリアナの反応にブラッドがビクッとして固まっていると…リリアナがムクっと起き上がる…


少しふらっとして手をつくと…心配そうにネズミと犬が寄ってきた…リリアナはネズミ達を撫でて


「心配させてごめんね…もう大丈夫だよ。君たちも大丈夫そうでよかった…犬さんが助けてくれたの?」


ネズミ達はそうだと言わんばかりに激しく上下する…その様子に笑っていると…目の前の犬に目を向ける…。


「犬さん…助けてくれてありがとう…この子達の分もお礼を言わせて…」


そう言って濡れた体を優しく撫でると…気持ちよさそうに目を細める…。


「犬さんはなんて名前なの?良けば名前を教えて?いつまでも犬さんじゃ…寂しいよ…」


そう言って眉毛を下げると…


【…ブラッド…】


「えっ?」


【ブラッドだ…】


ブラッドはふいっと横を向く…。


「ブラッドか…ブラッドさんありがとう」


リリアナがニッコリと笑って礼を言うと…


【ブラッドでいい…】


「なら私はリリアナだよ!ブラッドよろしくね」


リリアナは、立ち上がると…家の中からタオルを取ってくると…ブラッドの体を拭き始めた。


【俺は大丈夫だ、それよりもお前が拭け】


「お前じゃなくてリリアナ!」


【…わかった…リリアナちゃんと自分を拭くんだ】


「ふふ…ブラッドはやっぱり優しいね…思ってた通りだ…」


リリアナは嬉しそうにブラッドを拭くとそのままネズミ達も優しく拭く。


「君たちももう捕まらないようにね…出来ればこの家じゃない所に逃げて…」


寂しそうに笑って言うと…ネズミ達は顔を見合わせていた…。


【おま…リリアナは俺が喋ってる事を変だとは思わないのか?】


「えっ?…そうだね…でもずっとブラッドがおしゃべり出来たらいいなぁって思ってたからそれに絶対私の言ってる事わかってるって思ってた!ブラッドは顔に出過ぎだよ」


そう言って顔を覗き込まれる。


【フンっ】


「そうそう!そうやって恥ずかしがると横を向くところとかね」


リリアナに愛おしいそうに撫でられて居心地が悪くなる…


【…ほら…さっさと飯の用意を始めた方がいいんじゃないか?】


ブラッドに言われてハッと気がつくと…リリアナは慌てて家に走って行った…が途中で振り返り…


「ブラッド!またね~」


そう言って後ろを向いて走りながら手を振る…


【あ、危なっかしいなぁ…】


ブラッドは今にも転びそうなリリアナにハラハラしていると…


「きゃっ!」


案の定尻もちを着いた。


ブラッドが立ち上がるが…


「あははー大丈夫だよ!」


リリアナは直ぐに立ち上がり家の中に入っていってしまった。


【…助けてって一言言えばいいものを…】


ブラッドはまたいつもの位置に寝転ぶと…リリアナの気配を無意識に探っていた…。

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