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「犬さんおはよう～」
今日もリリアナからの挨拶から始まる。
リリアナはブラッドの側に樽を用意すると洗濯物を足踏みしながらブラッドに話しかける。
「今日もいい天気だねぇー洗濯物がよく乾きそう！犬さんも水浴びする？」
(犬さんて…)
ブラッドはふいっと横を向く。
「あれ？ご機嫌ななめだね？どうしたの？」
足を止めてブラッドの側にくると頭に手を乗せようとする…。
ブラッドはふいっと立ち上がると…生垣の中へと行ってしまった。
「あれ？」
リリアナがブラッドの立ち去った方を見ていると…
「リリアナ！」
ビーズの呼ぶ声が聞こえる、リリアナが急いで向かうと…
「リリアナ！ネズミがまたいたわよ！ちゃんと処分しておきなさいよ！」
網にかかったネズミを見せてくる。
「で、でも…別に何かした訳ではないですから…外に離してあげれば…」
リリアナが助けてあげて欲しいと…頼むと…
「うるさいわね！こんな害獣は殺すべきなのよ！」
そう言うとネズミが入った金網ごと、川に投げ捨てた…
「あ！」
ビーズは手が汚いと洗う為にさっさと家の中に入ってしまう…。
リリアナは急いで川に飛び込むと金網を探す…そんなに深くない川だと思い飛び込んだが…奥に行くとどんどんと深くなる。
リリアナは太腿まで水に浸かり金網を懸命に探した…。
「あった！」
金網の感触が指に伝わり、急いで引き上げて中のネズミを見ると…ぐったりとしている。
「大変だ！」
急いで岸に戻ろうとすると…川の深い部分に足を取られてしまった。
「危ない…」
バランスを崩して転びそうになりながら金網を岸に投げ込む。
その拍子に足が取られてリリアナは川に流されてしまった…。
思いっきり水を飲んでしまい、息が苦しくなると…目の前が黒くなる…必死にもがいて何かに捕まったが…そこで意識を手放してしまった…。
リリアナは何かが顔を舐める感覚と名前を優しく名前を呼ばれて目を覚ました…。
目の前には金色の瞳の黒い大きな犬がぺろぺろと顔を舐めていた…。
「…ゴホッ！ゴホッ！…犬さんが…助けてくれたんだ…あり…がと…」
何が手に纏わりついている感触に目を向けると…金網に入っていたネズミ達が心配そうに手の周りをうろちょろと駆け回っていた…。
「よかっ…た…無事だった…んだね」
リリアナが二匹を優しく撫でると…パタンと手を下ろしてまた意識を失ってしまった…。
(大丈夫なのか！)
(僕らの為に…)
二匹が心配そうに見つめていると…
【大丈夫だ…水を飲みすぎただけだ…そのうちに目覚めるだろう…】
ブラッドが二匹に声をかけると…
(助けて頂いてありがとうございました)
(この御恩は忘れません…)
金網から二匹を助け出してくれ…水を吐き出させてくれたのは…ブラッドだった…
【俺は…こいつ…リリアナが助けたから手伝ったまでだ…礼ならリリアナにしてやれ】
((それは勿論です！))
二匹とブラッドはこの日からリリアナの情報交換を始めた…。
