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「今日もあの娘を見る日か…」


いつもの定位置に行くとドカッと寝転ぶ…今日もいつもと変わらずにリリアナは動き回っていた…。


「つまらん…」


欠伸を噛み殺してリリアナを見ていると、ふと目が合った気がした…。


いや…まさかな…


ブラッドは気にすること無くいつもの様に目を閉じた…



眠りについてしばらくすると…

何か…いい香りがする…


鼻をヒクヒクと動かすと…やはり美味そうな匂いが近くにある…


目を開くと、少し離れた所に皿に乗ったパンが置いてあった…。


(なんだ?あれは?)


目を覚まして周りを伺うと、リリアナが建物の中からこちらを気にするようにチラチラと様子を伺っていた…


(これは…俺にか?)


あまりに美味そうな匂いにつられ近づくと…リリアナの嬉しそうな顔が見える…


(毒…では無さそうだな…)


ブラッドは思い切って口に運ぶと…魔族の国のパンとは違いふわふわで柔らかく優しい甘さが広がる…


【美味い】


ブラッドはあっという間にパンを平らげてしまった…


また定位置に戻ると…リリアナが皿を片付けに出てきた…。


「こんにちは、犬さんパン美味しかったかな?私が作ったんだよ」


リリアナに話しかけられるが、無視を決めこむ…しかし気にした様子のないリリアナは一人で喋ると満足したように戻って行った…。


その日からリリアナの餌付けが始まった…


どうやらファイやギョクも貰っているらしい、最近の話は今日は何が食べれるだろうかとそればかり話していた。


しかし言いつけはキチンと守り一定の距離を取っているようだった。


今日も変わらずにいつもの定位置に寝転ぶ。


リリアナの朝食の準備が終わって洗濯物を抱えて裏庭に出てきた…


「犬さんおはよう~」


リリアナが俺に挨拶をする…これもいつからが当たり前の様になっていた。


ふんと顔を逸らして視線をずらすが気にした様子もなくリリアナの洗濯が始まる。


今日も楽しそうに洗濯物を踏んでいると…石鹸の泡に足を滑らせ豪快に頭から転びそうになった!


【危ない!】


思わず叫ぶと、一瞬で駆け寄り体の上に倒れこませる。


リリアナは俺を潰してしまったことで謝りながら体の心配をしていた…


よかった…思わず叫んだ声は聞かれていなかった様だ…


「犬さん…ごめんなさい、それと…助けてくれてありがとう!お礼に今日はいつもよりも沢山のご飯を用意しておくね!」


リリアナに頭を撫でられる…


何だか不思議な気分だ…

その日のリリアナからの飯はスープがついていた、いつもよりも美味しく感じるのは…なんでなんだ?


そしてこの日からリリアナとの距離が縮まっていった…。

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