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ビーズがストンと腰を落として傷口を押さえると…


「やった…やったわ!これで私は助けてくれるのよね!」


ブラッドを見つめると


「ちょっと!私だって一緒よね?」


モスが近づいていく…


「姉さんは何もしてないじゃない!やったのは私よ!私だけ直して!」


「こいつ…!」


モスがビルデの髪を掴むと…ズルッと皮膚ごと毛が抜ける…


「うわぁ!」


モスが気持ち悪いとビルデの髪を投げ捨てると…


「わ、私の髪が…」


ワナワナと頭を触ると…ヌチョっと気持ち悪い感触がした…


「ふざけんなぁ!」


ビルデがモスに襲いかかると取っ組み合いの喧嘩をはじめる…二人の体はみるみるうちに崩れていき…もう立ち上がる事も腕を上げることも出来なくなっていた…。


「た…すゅ…け…てぇ…」


崩れた顔からかろうじて声が聞こえる…


ブラッドは冷たく見下ろすと…


「そんなに崩れたらもう元には戻らんなぁ…」


「そ…ん…なぁ…」


「助かったとしても崩れたら顔のまま…母親殺しとして生きていくことになるぞ…」


「や…だ…」


二人が嫌だ嫌だと訴えると…


「ここまで酷いと…治すのにも対価がいる…お前達に払えるか?」


「は…ら…う…」


「な…ん…で…も…すゅ…るぅ…」


その言葉を待っていたとばかりにニヤッと笑うと…。


「確かに聞いたぞ…ファイ…」


「うん!僕も聞いたよ!じゃリード、ナッツ!出ておいで!」


ファイの声に二匹のネズミが姿を現す…。


「な…に…?」


「う、うう…」


モスとビルデがいきなり現れたネズミに困惑すると…


「こいつらはお前らの家に住んでたネズミだ…覚えてるか?お前らがこいつらに何をしたのか?」


ブラッドが二人を見下ろすと…


二人の顔がさらに歪む…


「覚えがあるようだな…」


胸糞悪いとブラッドが吐き捨てる。


「お前がネズミ取りにかかったこいつらを水に沈めたり石を投げつけたり高い所から落としたりと散々苦しめて殺そうとしたな…」


「ち…が…」


「だ…って…しん…だ…は…ず」


モス達が言い訳をしようとするが、ブラッドは無視して続ける。


「こいつらは死にそうな所を何度も助けてもらってようやく生き延びていたんだ…そしてそんな弱い自分達がもう嫌なんだと…俺達のように魔族になりたいらしい…」


「ま…ぞ…」


「…?」


「魔族になる為には生贄が必要なんだよ」


ファイが横から口を出すと…


「「!!」」


二人がビクッと反応する…


「しかも自分達から命を差し出して貰わないとならない…」


「「ちが…!」」


私達は差し出してないと振れない首を動かす


「よかったなぁ…リード、ナッツ!こいつらが命をくれるそうだぞ」


二匹は二人を気持ち悪そうに眺めていた。


「お前達もよかったなぁ…お前達のおかげでこの二匹の願いが叶う、最後にいい事をしたな…だが…遅すぎたな…お前達の魂は地獄行きだ」


「ゔ…ゔ…」


「だぁ…」


「もう何を言ってるのかもわからないなぁ…」


ファイとブラッドが肩をすくめると…リードとナッツがモスとビルデの体に乗る。


二人はネズミに見下ろされて必死にもがこうとするが…もう動かせる体がほとんどない…二人を見下ろす冷酷な瞳を見ながら…二人の命の火は消えていった。



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