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「ルシファー様!私達もう用意出来ましてよ!」
「そうか…では行こうか…」
「はい…」
ビーズはルシファーの差し出した手に軽く触れると…今まで住んでいた家を振り返ることなく出ていった…。
「ブラッドさん!私もエスコートして下さる?」
ビルデで笑ってブラッドを見ると…
「…申し訳ございません…私はこちらの荷を運ばなければなりませんので…」
冷たい眼差しでビルデを見ると…
「あら…そうなの…残念だわ…じゃお屋敷で待ってますからね!」
「はい…」
ブラッドはニッコリと笑いかけた…。
「ファイさんは?」
モスが上目遣いで聞くと…
「…(チッ)すみません…私もこちらの片付けを申し使っておりますので…」
残念そうな顔をすると…
「なら…帰ってきたら必ず声をかけて下さいませ!必ずですよ!」
「…(このブスが…)ええ…」ファイは顔の形を変えることなく頷いた…
他の従者達と一緒にビーズ達が馬車に乗り離れると…二人はリリアナの部屋へと向かう…。
コンコンコン…
リリアナの部屋の扉をノックすると…
「はい…」
目を腫らしたリリアナが顔を出す…
「あっ!あなたは庭の…」
「リリアナ…目が…」
ブラッドは思わずリリアナの目を優しく親指でさすると…
「やっぱり…あなた…ブラッドね!」
リリアナの瞳が大きく開かれる
ブラッドは気付いて貰ったことに嬉しそうに笑うと…
「リリアナにはわかってしまうんだな…」
「だって…その目…優しい金の瞳がブラッドだった…なんで起こした時に教えてくれなかったの?」
酷いとリリアナがむくれると…
「すまん…従者としてきていたからな…」
「従者?」
「それはいい…それよりもリリアナこの家はもうリリアナの物になったんだろ?」
ビーズに渡された書類を指指すと…
「うん…だけど…この家には借金があるみたい…私が夜まで働けば…いつかは返せるかな…」
「そんな事はする必要ない…借金はもう全て返してある」
「えっ?どういう事?」
「俺達のご主人様が全て完済して下さった!」
ブラッドが嬉しそうに説明すると…
「ブラッド…とってもありがたいお話だけど…そんな事をしてもらう訳には行かないわ…」
リリアナはしっかりとした強い口調で伝える…
「しかし…こんなに泣いていたじゃないか!」
「うん…泣いた!沢山泣いた!だからもう泣かない!悲しい涙は流し尽くしたよ!」
リリアナの瞳が強く輝いてみえる…
「お金はもう払ってしまったんだよね?」
ブラッドは申し訳なさそうに頷くと…リリアナはブラッドの両頬をそっと包む。
「ブラッド…ありがとう。すごい嬉しいよ…私の為にしてくれた事…その気持ちはとても…嬉しい…それに…よく考えたら助かるな!お金はブラッド達に返していけばいいんだよね?」
リリアナが明るく笑うと
「僕らに?」
ファイが首を傾げる…
「私の借金をブラッド達が払ってくれたんだもん…その分ブラッド達に返していくんでいいかな?」
ブラッド達が返事に困っていると…
「いいんじゃないか?」
何処からか声が聞こえてきた…