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「ハク!リリアナとの食事だかこの店にした、日はいつなら大丈夫だ?」
ブラッドが機嫌よくハクの部屋に飛び込んできた…
「……誰ですか?」
ハクが怪訝な顔をすると…
「はっ?何言ってんだよ?俺だよ」
ブラッドが不機嫌な声を出すと
「ああ!…いつものあなたですね…機嫌よく名前を呼ばれたから…てっきり誰かが化けてるのかと…」
ハクが鼻で笑うと
「うるせぇな」
ブラッドがさらに不機嫌になる
「昨日はリリアナの事で怒っていたのに…もういいのですか?」
ハクが聞くと
「ああ、それは解決した。何も心配する事は無かった」
(機嫌がいいのはその為ですかね…)
「…どういう…事ですか?」
気にしないふりをしながら聞くと
「どうもデートの相手とは今度食事に行く為らしい…」
ブラッドの言葉に…
「それって…」
ハクが思わずブラッドを見つめる。
「ああ、きっと俺達と行くためだろう」
ブラッドがニヤリと笑う。
「どうも誰かがデートだと勘違いしたんだろうよ」
「そうですか…」
ハクがクスッと笑うと
「それで?お前はいつなら大丈夫なんだ?」
「そうですね…」
ハクが予定を確認していると…
トントントン
「失礼致します」
部下が資料を抱えて部屋に入って来る
「ご苦労、そこの机に置いて下さい」
ハクが指示を出すと…
「あれ?ブラッド様?珍しいですね…ハク様の所に来るなんて…」
部下がブラッドに声をかけると
「ああ…ちょっとな」
ブラッドが誤魔化すと
「そうだ、聞きました?昨日リリアナちゃんがどこかの男性と楽しそうに夜道を歩いていたそうですよ」
何気なく口にすると
「「えっ」」
二人が反応する。
「なんか凄く大人っぽい格好してて、一瞬リリアナちゃんってわかんなかったみたいですよ」
部下が笑顔で二人を見ると…
ビクッ!
ブラッド達の顔が真剣な表情になっていた…
「一体誰といたんだ…」
先程のご機嫌雰囲気が無くなると…
「えっ?あっ…いや…誰かまでは…ただ年上の男性で腕を組んで歩いていたらしい…です」
「そうか…」
ブラッドは何も言わずにハクの部屋を出ていった…
「ど、どうしたんですかね…ブラッド様は…」
部下がハク様を見ると
「さぁ…」
ハクが素っ気なく返事を返すと…
「じゃあ、俺は失礼しますね」
「ああ…」
部下が部屋を出ると…
「あいつ…何が俺たちと食事の為だ…変に勘違いしやがって…」
ハクは急に進まなくなった仕事を置くと、食堂に向かって行った…