115
「聞きたいこと?」
ギョクが首を傾げると…
ちょいちょいと手招きしてギョクをリリアナから遠ざける。
「リリアナがデートの為に服を買いに行ったって聞いたんだけど…」
「あーその事?さっき行ってきたよ」
ギョクがあっさり答えると
「相手は誰なの?」
ファイが睨みつける
「ぶっ!もしかしてリリアナのデート相手が気になって飛んできたの?文字通り飛んで?」
ギョクが可笑しそうに笑うと
「うるさいな!ブラッドなんて血相変えて相手の事殺しそうだよ!よっぽどの奴じゃないと許さんって…」
「よっぽどって?」
「まずは自分より強くないといけないんだって…」
「はっ?あの人馬鹿なの?あの人より強いのなんてこの国に何人いるんだよ」
「ブラッドはリリアナの事になるとどうしょうもないから」
「はぁ…ブラッドは自分で自分を殺すんだ…」
ギョクがため息をつくと
「何それ!やっぱりブラッドとなの!」
ファイが怒ると
「違う、違う!今度のハク様とブラッドとの食事会の服を買いに行ったんだよ、リリアナ大人っぽい服を持ってないって言うから…二人に恥をかかせたくなかったんだろ」
「リリアナらしいなぁ…でもリリアナの新しい服を見れるのは結局ブラッドかぁ…」
ファイがガックリしていると
「ファイも諦めなよ、どう見ても両思いだろあの二人…」
ギョクがファイの肩を叩くと…
「まだ…リリアナは自覚してないじゃん…わかんないよ…」
ぷいっと横を向く。
「辛くなるのはファイだよ…」
ギョクが優しく声をかけると…
「わかってるよ」
ファイはギョクとは目を合わさずに鳥になると飛んでいってしまった。
「あれ?ファイ…もういいの?」
ギョクがリリアナの所に戻って来ると
「うん…ちょっと聞きたいことがあっただけみたい…」
「そっか…ファイともっと話したかったのに」
リリアナが寂しそうにすると
「いつでも会えるよ、さぁ昼休みも終わるよ早く戻ろう」
ギョクがリリアナの手を取ると、リリアナがギュッと握り返した。
「じゃリリアナお仕事頑張って!私が服を部屋に置いといてあげるよ」
ギョクが荷物を受け取ると…
「ありがとう!また、夜にね」
リリアナが手を振ると食堂へと向かって行った…
ギョクはリリアナがちゃんと厨房に入るのを見届けると家へと帰って行った。