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その頃リリアナとギョクは仲良くお店を訪れていた。
「この店ならリリアナが気に入りそうな服があると思うよ」
ギョクが連れてきてくれた店は前にムーマが連れていった店とは違い普通の服が置かれていた。
「本当だ!これなら私でも着れそう」
リリアナが服を手に取ると…
「いらっしゃ~い~」
奥から野太い声が聞こえてきた。
「あら、ギョクちゃんいらっしゃい♡」
リリアナはおくからねきた店員さんを見て驚いてしまう…そこにはどう見ても男の人が可愛い女の人の服を着て立っていた…。
「あっ!マリリン!こんにちは」
ギョクが軽く挨拶をすると
「リリアナ、ここの店員のマリリンだよ!オシャレの事ならマリリンに聞けば大丈夫!」
マリリンを紹介されると…
「初めまして、リリアナと言います…私…服とかよく分からなくて…マリリンさん良かったら教えてください」
リリアナがペコッと頭を下げると
「可愛い!何?ギョクこんなに友達がいたの?」
マリリンがリリアナに抱きつくと…固い胸板があたる。
「きゃ!」
リリアナがどうしていいか戸惑っていると
「マリリン!リリアナが可愛いからってやめてよ!この子は大事な大事な私の妹みたいなものなんだから!」
ギョクがマリリンからリリアナを助けると…
「あら…私だって可愛い子と仲良くなりたいわ…」
寂しそうにリリアナを見つめると…
「マリリンさん…私まだこっちにきて日が浅くって友達も少ないんです…だから…友達になってくれると嬉しいです…」
そう言って手を差し出す…しかし緊張と不安からプルプルと震えると…逞しい手がリリアナを包む。
「本当に可愛いわ…気に入った!今日から私達は友達よ!何時でも遊びに来てちょうだい!」
ニコッとマリリンが笑うと
「ありがとうございます!」
リリアナが嬉しそうに微笑むと…
「ダメダメ!リリアナ、私達友達になったのよ!敬語はおしまい!もっと気軽に話しかけてね」
「うん!マリリンちゃんよろしくね」
マリリンの気遣いにリリアナは嬉しそうに返事をかえした。
「じゃマリリン、リリアナに似合いそうな服を見繕ってくれる?」
「任せてよ!リリアナは可愛いからなんでも似合いそうね…どんな服が好きとかあるの?」
マリリンに聞かれて…
「えっと…今度食事に行く予定があって、だから少し大人っぽいのが欲しいの…」
恥ずかしそうに言うと…
「「可愛い!」」
マリリンとギョクがリリアナを挟んで抱きつく!
「マリリン!リリアナの初めてのデート成功させるような服を選ぼう!」
「そうね!これは真剣に取り組まないとね!」
ちょっと待ってて!
そう言うと二人は服を物色しにあっという間に消えていった…
「あっ…」
リリアナが二人を止めようとするが…もういない。
「デートじゃ無いのに…」
リリアナはどうしよう…と不安そうに店にポツンと残されてしまった。