105
「そっか…家族って意味でブラッドは同じ気持ちって言ったんですね…」
リリアナが自分に言い聞かせるように言う…
「……」
(あの最初の過保護っぷりを見ても…絶対に違う理由だとは思いますが…)
「さぁ…もう仕事終わりで疲れたでしょう?早く部屋に行って休みなさい…」
ハクが話を逸らすと
「は、はい、ハク様プレゼントありがとうございました…とても嬉しかったです!明日から早速使わせて貰いますね!」
リリアナが嬉しそうにエプロンを抱きしめる。
「それと…ルシファー様にもお礼を…今度お手紙を書いても大丈夫でしょか?」
伺うように聞くと
「ええ、きっとお喜びになると思いますよ」
ハクが笑顔で頷いた。
ハク様が部屋まで送ってくれるとリリアナに付き添い歩いていると…
「リリアナ?」
ブラッドがリリアナの家の前で待っていた…
「ハク…」
「ブラッド…」
ハクとブラッドが睨み合うと…
「二人共どうしたんですか?」
リリアナが不安そうな顔をする…
そんなリリアナに、ブラッドは
「いや、なんでもない…なぁ…ハク…」
ブラッドが引き攣った笑顔を見せると
ゾクゾクゾクッ
ハクに鳥肌が立つ
「やめろ!」
思わずハクが大声を出すと
「ハク様?」
リリアナがハクを心配そうに覗き込む…
「もしかして…二人は仲が悪いの?」
悲しそうな顔を見せると…
「そ、そんな事ない!ちょっと気が合わないだけだ」
ブラッドが言い訳をすると
「そ、そうですね…意見が合わない事があるくらいです…」
ハクも気まずそうに答えると
「本当に?なんか…二人が喧嘩してるみたいで…ちょっと悲しいです…」
リリアナが下を向くと…
「そ、そんな事ないぞ!なぁ!ハク?」
おい!話を合わせろよ!
とばかりにブラッドが目で合図すると…
心底嫌そうな顔をして…しょうがない…と
「ええ、仕事柄そうなだけで仲は悪くないですよ…」
ハクもはは…と口だけで笑う。
「そ、そうなの?ブラッド?本当に?」
リリアナが見つめると
「あ、ああ…」
ブラッドが目線を逸らす
あのバカ犬!嘘だとバレるだろうが!
ハクがジロっとブラッドを睨むと
「ハク様?」
今度はハクを見つめる…
「大丈夫です…こう見えても一緒に飲みに行ったりする仲ですからね…」
ハクが盛大な嘘をつくと…
「何だ!喧嘩するほど仲がいいって事ですね!」
「そうそう!」
ブラッドが同意すると…
「なら今度三人でお食事でもしましょう!お世話になってる二人に私ご馳走したいです!」
「「へっ?」」
「嬉しいなぁ~」
リリアナの楽しそうな雰囲気に…二人が黙ると…
「予定が空いてる日あったら教えて下さいね!ハク様送って頂きありがとうございました!二人共おやすみなさい!」
リリアナは機嫌よく家へと入って行った…
「「おやすみ…」」
二人はリリアナがいなくなっても唖然と立ち尽くしていた…。