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「このバッグは容量がいくらでも入って時間経過もないバッグとなっています…」
ハク様の説明に…
「それは便利です!やっぱり魔族の国って凄いんですね!」
リリアナが喜んでいると…
(容量無制限の時間停止機能のバッグなど…どれ程の人が持っているやら…それこそ…人間でも勇者クラスぐらいでしょうに…)
ルシファー様のリリアナへの気持ちが伺える…
「リリアナ…このバッグは…ちょっと特殊ですからあまり人前で使いすぎないようにしなさい…」
「えっ…特殊?」
リリアナの顔が曇ると…
「い、いえ…ルシファー様からのバッグなんて…みなが羨ましがるでしょう?」
ハクが慌てて言うと
「確かに…そうですね!ルシファー様からなんてみんな欲しがります!」
「そ、そうでしょう…ですから沢山物が入るとか…時間停止機能がある!なんて事はあまり言いふらさないこと!」
ハクが言い聞かせると…
「わかりました!人前では言わないようにします!」
「よろしい」
ハクが頷いた。
「しかし…ルシファー様はリリアナからのお土産を大変喜んだんでしょうね…差し支えなければ、何をあげたか聞いても?」
「ルシファー様には 羽根ペンをお土産にしました!ルシファー様の綺麗な羽根に合うように…」
「そうですか…では書類仕事が捗っているでしょうね…他の方は?」
「シュカさんには写真立て、ガルムさん達にはコップ、ファイにはアンクレット、ブラッドにはピアスです!」
「なるほど…ファイなどよく鳥の姿になりますからね…足に付ける物は喜んだでしょう」
「はい!ファイと同じ青い石の付いたのでとっても似合ってました」
リリアナが思い出し納得していると…
「あの黒い犬っころにはピアスですか…」
「犬っころ?」
「ええ、あの黒い男ですよ」
ハクの機嫌が悪くなると…
「ブラッドですか?ブラッドは紅い石のピアスです」
それも似合ってましたよとリリアナが笑うと…
「紅…」
ハクがリリアナの紅い瞳を見つめる…
「…犬…いえ…ブラッドは何か言っていましたか?」
「えっ?確か…喜んでくれて…
〝リリアナの気持ちが嬉しいって俺も同じ気持ちだ…〟って言ってくれました」
「同じ…気持ち…」
ハクのこめかみがピクピクと動くと
「リリアナ…自分の体の一部の色の宝石や石を渡すというのは…相手に思いを伝える時にプレゼントする事がほとんどなのですよ…特に魔族の国では…私をもらってくださいとも取られかねません…」
「えっ…」
リリアナがびっくりするとじわじわと顔が赤くなる…
「まぁ…その様子なら意味を知らずに渡した様ですね…次からは気をつけて下さい…」
ハク様の説明に
「ど、どうしましょう…ハク様…私…ブラッドに…」
アワアワと顔を赤くしたり青くしたりしていると…
「大丈夫…家族間でも渡すこともありますから…大切ですよ…と同じ様なものですよ…」
(まぁ…家族間と言っても…夫婦ですが…)
「そ、そうなんですか?か、家族…そうですよね…ブラッドとは家族みたいなものだし…」
リリアナが胸を抑えて納得すると…
「ええ…ですが次は気をつけましょうね…あの黒いのが調子にのってしまいますからね」
ハク様がにっこりと笑った…。