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ビーズ達は支度を終えると今か今かと馬車を待っていた…。


リリアナが一人外で洗濯物を干していると…蹄の音が近づいてきた。


ビーズ達は待ちきれずに外に飛び出すと、馬車が三人の前で止まる。


「お嬢様方お待たせ致しました…」


艶やかな青い髪の美少年の従者が出てくるとモスとビルデがポーっと少年を見つめる。


「馬車へどうぞ…」


従者が馬車の扉を開けると…


「お手をよろしいかしら…」


モスが従者に手を差し出すと、青髪の美少年がピクっと一瞬反応するが直ぐにニッコリと笑うとモスの手を取り馬車の階段を登らせる…。


続くビルデも手をだし少年の冷たく綺麗な手を握りしめた…。


その様子を見ていたリリアナは…


「あの子…」


モスの手を握る前の一瞬顔を顰めたのをリリアナは見てしまっていた…リリアナはサッと顔を背けると洗濯を続けた…。


少年は三人を馬車に詰め込むと遠くにいたリリアナを見つける…しかしその姿にギョッと驚き…顔が怒りに歪む…。


(髪が…)


少年はふぅーと息を吐き出すと周りの草花が凍りつく…。


ジャリ!


凍りついた草花を踏みつけると…呼吸を整えて馬車へと乗り込んで行った…。


ビーズ達が出かけていき…洗濯を終えると、つかの間の休息…リリアナは庭にゴロンと寝転ぶと空を見上げた。


鳥たちが楽しそうに空を自由に飛び回っている…


「あの子…ファイみたいな綺麗な髪だったなぁ…」


あの鮮やかな蒼色を思い出し…バラバラに切られた自分の髪を触る…。


「ファイ達が見たら…また悲しませちゃうかな…」


リリアナは目を閉じると、いつの間にか眠りについてしまった。


馬車の中は従者の隣に座ろうと、モスとビルデが席を取り合っていた…。


「ビルデ!ちゃんと座ってなさい!お行儀が悪いわよ!」


「姉さんこそきちんとお母様の隣に座って下さる?いつもそこに座るでしょ?」


「この席がよろしいのなら私が退きます…どうぞお二人で仲良く座って下さい」


従者が笑いかけて二人に席を譲ると…笑いかけられた二人はそのまま停止して余韻に浸っていた。


従者は馬車の入口近くに立つと外を見る…もう家はだいぶ遠ざかり見えなかったが…いつまでも家の方向を眺めていた。

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